売り切れ御免の人気店「3時のドーナツ」、山鹿市に初の店舗 開業2年で悲願 横手夫妻「地元を盛り上げたい」
マルシェや百貨店などへの期間限定出店で人気のドーナツ店「3時のドーナツ」の初めての店舗が26日、山鹿市の豊前街道沿いにオープンした。地元出身の横手裕貴さん(33)と妻の有希さん(33)が2022年4月に開業。「山鹿の街を盛り上げたい」という夢に向け、夫婦の〝第二章〟が始まった。 市営温泉「さくら湯」に近い中町地区の空きテナントに出店。店内には鹿北産の抹茶などを使ったドーナツが並び、初日から多くの客がお目当ての品を買い求めた。 夫の裕貴さんは熊本県内の大学を卒業後、電気設備工事会社に就職。仕事に追われ、家族との時間も取れないような働き方に疑問を感じて20年3月に退社した。新たな生活を模索する中で頭をよぎったのが、子どもが好きだった有希さん手づくりのドーナツだった。 県外から山鹿に帰郷した裕貴さんは、久しぶりに訪れた豊前街道にショックを受けた。「人通りも少なく、活気が感じられなかった」。にぎわいを取り戻したいと、空き店舗への出店を計画。しかし、商売未経験者に物件を貸してくれる人はいなかった。
無店舗からの出発となったが、「まずお客さんの心をつかみ、いつか店を持った時には山鹿まで足を運んでもらおうと頭を切り替えた」と有希さん。インスタグラムで情報を発信し、県内外で出店を重ねた。 ドーナツは県産の小麦粉を使い、米油で揚げる。キンカンや抹茶などの素材も生産者と会ってレシピを考えた。そうしたこだわりと「人と場所をつなぎたい」という夫婦の思いが伝わり、売り切れ続出の人気店となった。開業から2年余りで実力を蓄え、念願の店舗オープン。開店資金はクラウドファンディングで募り、目標の200万円は3日足らずで達成した。 地域活性化とともに、目標に掲げるのが「子育て世代の雇用の促進」。店舗内に従業員の子どもが過ごせるスペースも確保した。裕貴さんは「たくさんの応援があって今がある。これからはこの店を核に、人や街を応援していきたい」と力を込める。営業時間は午前11時から午後5時。ドーナツは1個390~500円で、1日350個限定。不定休で、年末年始も営業する。(本田清悟)