どんぶりに小宇宙を見出す福丼県、県民主導で拡大中
ソースカツ丼に続けとばかりに、これまで地元でしか食されていなかった「醤油カツ丼」(大野市)、「ボルガライス」(武生市)、「浜の活(かつ)丼」(越前町)が全国にPRされていく。ちなみにボルガライスはオムライスの上にトンカツが乗ったご当地“どんぶり”だ。 「それもどんぶりにくくるの?」という声も聞こえてきそうだが、野坂さんはこう話す。「和のものだけではない、中華のものだけではない、洋のものだけではない、いろんな食に関わっていけるのがどんぶりの良いところ。どんぶりとはいろんな食材とお米が、どんぶり一つのなかで完結する小宇宙なのです」。 ルールがあるような、ないような、ゆるいノリに地元は盛り上がる。福丼県のサイトには、300を超えるどんぶりがデータベースに登録されている。発足当初30ほどだったどんぶりの提供者も100を超えるようになった。福丼県の名刺を持って、PRする賛同者の数は1300人に上る。越前ガニで知られる県北部の三国漁港などでも、福丼県ののぼりが立つようになった。 新しいどんぶりができたら、認定制度も始めたいという。認定と言っても、厳格なルールはない。(1)器に越前漆器か越前焼を使うこと(2)若狭塗り箸で食すること(3)福井の食材、福井のコメを使うこと。コシヒカリのルーツが実は福井県にあるというのは豆知識。
2015年3月14日「ワール丼カップ」開催へ
来年3月14日から2日間、福井市内で「ワール丼カップ」を開催する予定だという。全国丼連盟が主催する「全国丼グランプリ」で選ばれた人気のどんぶりが一堂に会し、日本一(=世界一)のどんぶりを決定する。 2015年3月14日、この日は北陸新幹線がJR金沢駅まで開通する日でもある。JR福井駅にはあともう一歩届かないが、石川県だけでなく福井県も盛り上がっていることを知ってもらいたいという。 観光客の誘致は、どの地方でも抱える課題だ。「福井の食のレベルは高いのですよ。福井にいると実感はありませんが、県外から来る人はみんな『予想外においしかった!』と言ってくれます」と野坂さん。 越前ガニに若狭カレイ、焼きサバにおろしそば。食に恵まれた福井県は、どんぶりで勝負する。