マッサージではほぐせない深層筋(インナーマッスル)へのアプローチは鍼治療がいいってホント?
疲れた身体、凝り固まった筋肉に対するマッサージは、とても気持ちが良いですよね。しかし、マッサージではほぐすことが難しい筋肉があるのをご存知でしょうか? そんな深層筋(深部の筋肉)にアプローチすることができる鍼施術について、鍼灸師の佐治良一先生(株式会社トリート代表)にMedical DOC編集部が話を聞きました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
筋肉にも種類があるの? 深層筋ってなに?
編集部: 筋肉も、場所によって種類があるというのは本当ですか? 佐治先生: はい。筋肉は一般的に、「骨格筋」「平滑筋」「心筋」の3つに分類されますが、このうち「骨格筋」は場所によってさらに「表層筋」と「深層筋」にわけることができます。文字通り「表層筋」が体の表面に位置する筋肉で、「深層筋」は体の内部にある筋肉で「インナーマッスル」とも呼ばれます。 編集部: 「インナーマッスル」は聞いたことがあります。 佐治先生: 「インナーマッスル」は姿勢保持や動作の安定にとても重要ですが、体の深い部位に位置し、通常は表面には見えないため、鍛えたり、ほぐしたりすることが難しい筋肉です。 編集部: 確かに、マッサージなどではほぐせなさそうですね。 佐治先生: はい。例えば体幹のインナーマッスルは立っているだけ、座っているだけでも姿勢を維持するために働いているのですが、使い過ぎて筋肉が凝り固まってしまっても、直接アプローチしてほぐすことが難しいのです。 編集部: どのようにしたら、深層筋をほぐすことができるのですか? 佐治先生: ストレッチや深呼吸、さらには表層筋をリラックスさせた上でその下の深層筋をマッサージするといった特殊な施術で、ある程度はほぐれることが期待できますけれども、鍼を使った施術が最も効果的に深層筋をほぐすことができると思います。
鍼治療(施術)で筋肉がほぐれるのはなぜ?
編集部: なぜ、鍼施術で筋肉がほぐれるのですか? 佐治先生: 鍼が筋肉をほぐす効果を持つとされるメカニズムは完全に解明されているわけではありませんが、鍼によって血流が良くなることがわかっていますので、周囲の筋肉が弛緩し、凝りがなくなると考えられます。もうひとつ、鍼施術で筋膜の癒着が剥がれるとも言われていますので、そういった意味でも、体がほぐれるのが感じられると思います。 編集部: 「鍼」と聞くとちょっと痛そうですね。 佐治先生: 顔などにたくさん鍼を刺している鍼治療の写真などを見たことがある方も多いと思います。見た目はとても痛そうですが、一般的には痛みをほとんど感じません。 編集部: 全く何も感じないのですか? 佐治先生: 無痛の鍼もありますが、全ての鍼施術が「全く何も感じない」というわけではありません。部位によって、わずかな刺激や少しチクっとする感じがあったり、「ズーン」と重く感じたりする場合もありますが、多くの人が普通に我慢できる程度だと思います。中には「この感覚が気持ち良い」とおっしゃる方もいらっしゃいます。 編集部: 「ズーン」と重く感じるのは何が起きているですか? 佐治先生: 痛みやしびれなどの不調を感じている方は、多くの場合、凝っている筋肉の中に「トリガーポイント」というポイントが存在しています。この部位にしっかりと鍼があたると、ズーンと感じるのですが、それは硬くなった筋肉に鍼がアプローチできているということなので、心配はいりません。