9月は“魔の季節”? 中学受験で「父から暴力」13.6%、「母から」12.8%…構造的要因と対策を考える
小学生が挑戦する中学受験。その過程で行き過ぎた指導やエデュケーショナル・マルトリートメント(教育虐待)が生まれている。 【映像】「受験期に親から暴力を振るわれましたか?」…衝撃のアンケート 中学受験期における子どもと父母、また塾の関わりに対するアンケート調査を行ったのは日本女子大学大学院に通う浅見里咲さんだ。 「我が子の幸せを願うがゆえに多少の無理はやむをえないと判断し、結果的に子どもの心を傷つけてしまうと親の心境が、手に取るようにわかるようになった」 子を持つ母親である浅見さんは自身も中学受験を経験し、第一志望校に合格したものの、その過程で教育虐待だと思う場面も経験した過去がある。 しかし、数年後その“逆”を経験する。塾講師として中学受験生を教える中で、今度は自分が教育虐待に加担する側になるのではないかという意識を抱いたのだ。これをきっかけとして浅見さんは研究を開始した。
中学受験経験のある30代までの成人133人にネット上でアンケートを行った結果、中学受験を経験した人のうち「成績の推移や勉強の取り組みに関して“父親から”暴力を振るわれた経験がある」という問いには13.6%、“母親から”は12.8%が該当したという。また、「人格や人生を否定されるような発言を受けたことがある」には“父親から”10.5%、“母親から”14.3%。さらに、両親だけでなく学習塾から「成績の推移や勉強の取り組みに関して暴言・暴力を振るわれた経験がある」という問いには10.5%が該当したという。 10%超えという結果を浅見さんは「少なく感じた。もっとあるのではないか。アンケートの対象が大人だったため、受験を経て人生がうまくいっていたら“結果オーライ”で調整されてしまう。渦中の子どもに聞いたら違う結果なるかもしれない」と分析。 そして、この背景には「中学受験に厳しい指導もやむをえない」とする世間の風潮があると指摘した。
そんな風潮が親を追い込み、本来は子どもの将来のためを思って始めたはずの中学受験で子どもに暴力をふるう親がいるという現実。一部の塾もまた親や子どもを追い込み、教育虐待に拍車をかけている可能性もあるため、浅見さんも「親の心がけ次第という単純な話ではない」と強調した。