課題山積の中小企業…成長のカギは「地域連合」? 城南信金トップに聞く
■課題解決のために…中小が集合体になって取り組む「コンソーシアム」とは
――状況を打開するには何が必要か 城南信用金庫・林稔理事長「今後の日本のあり方を考えていく上では、“コンソーシアム”という考え方がある。ハードルは高いが、中小企業・零細企業が、技術はある程度違えども、まとまって一つの集合体になって、大手の注文をあらゆる角度から受けられるようなシステムをつくる。その中で大手企業と価格交渉をしていくのがよいのかなと思っている。中小企業には後継者問題もある。取引先でも、技術はあるのに後継者がいなかったりする。そういうこともクリアしていくためには、集合体が必要になってくるのかなと思う」 「一筋縄ではいかないのは事実だ。ただこれからは、アメリカのGAFAのように“1社が大きくなるのが一番よい”のではなく、例えば100社が連合して、その1社と同じ大きさになっていく、そういう企業体ができていった方が、日本経済にとってもよいのかもしれない」 ――信用金庫として、そうしたコンソーシアムの仕組みづくりに向けて、どのような支援ができるのか 城南信用金庫・林稔理事長「いろいろな考え方があるので、実際にやろうとするとかなりの労力はかかると思うが、できれば信用金庫として、後押しできればと思っている。(企業などの)マッチングや情報提供のように、機会をつくる、場所を提供するという形で参画できればよいと思う」
■高まる“地域密着”金融機関へニーズ 東日本大震災支援も継続
――人口減少によって人手不足が進む中、各地域で社会課題解決へのニーズが高まっている。地域に密着した信用金庫に求められる役割は増していると感じるか 城南信用金庫・林稔理事長「そう感じる。やはり信用金庫の基本は1軒1軒、フェイス・トゥ・フェイス。人と人とのつながりをより強固なものにしていかないといけないのかなと思う。また東京・神奈川の地元の自治体や学校などとの産学官連携を続けることによって、新たなビジネスを創出していかなければいけない」(※インタビュー後に城南信用金庫は、品川区と地域活性化のための包括連携協定を締結することを発表した) ――城南信用金庫は東日本大震災の被災地支援にも力を入れてきた 城南信用金庫・林稔理事長「これは今まで通り、当然、続けていく。まだまだ復興は道半ばだと思うし、一番必要なのは風化させないこと。あらゆる形で発信しながら、全国254の信用金庫のみんなで日本を良くしていけたらと感じている」 (聞き手:経済部・渡邊翔)