「敬老の日」は映画でお祝い!シニア世代のキャラクター&名優が活躍する映画13選
今日9月16日は「敬老の日」。1966年に祝日として制定されたこの日は、長年にわたって社会に尽くしてきた老人を敬愛し、その長寿を祝う日とされている。総務省が発表した最新の人口推計では日本の総人口の29.3%、約3625万人が65歳以上という高齢化社会。それでも最近では“人生100年時代”と言われているように、シニア世代もまだまだ元気に大活躍をつづけている。 【写真を見る】ファンキーな破天荒じいちゃんが大活躍の名作!『リトル・ミス・サンシャイン』 そこで本稿では「敬老の日」を祝して、ディズニーとディズニー&ピクサー、そして20世紀スタジオが手掛けてきた歴代の作品のなかから、シニア世代のキャラクター&名優が活躍する映画を紹介していこう。 ■ディズニーアニメのシニア世代は、物語のキーパーソン! まずはディズニーとディズニー&ピクサーによるアニメーション作品から6本をピックアップ。人生の先輩であるシニア世代のキャラクターは、時に主人公に一歩踏みだす勇気をくれたり、共に大きな壁を乗り越えたり、“家族愛”という普遍的なテーマを体現する役割を果たしたり、またある時は自ら果敢に挑戦していったり。年齢を重ねたキャラクターだからこその裾野の広さが、映画全体に深みを与えてくれる。 ディズニー・アニメーション・スタジオ100周年を記念して製作された『ウィッシュ』(23)の舞台は、どんな願いも叶うという魔法の国ロサス。そこで暮らす主人公の少女アーシャは、ある時すべての“願い”が魔法をあやつるマグニフィコ王によって支配されているという衝撃の真実を知ってしまう。そこでアーシャは、みんなの願いを取り戻すために立ち上がる。 そんなアーシャに行動するきっかけを与えてくれるのが、100歳を向かえようとしている祖父のサビーノ。音楽が大好きで陽気な性格の持ち主であるサビーノは、いつもアーシャを優しく見守ってくれる存在で、「ギターを弾いて、周りの人を楽しませたい」という清らかな願いを持ち、それが叶うことを楽しみに待ち続けている。一方アーシャは、サビーノの願いが叶うことを願っており、この心温まる関係が王国に奇跡をもたらすことになる。 また、『モアナと伝説の海』(13)に登場するタラおばあちゃんも、主人公のモアナを支える重要な存在。モアナが小さいころから島の歴史や伝統を教えてくれたタラは、海へと旅立つことを決断したモアナに島中の人々が反対するなか、ただひとり彼女を尊重し、自分の心に従うようにと助言してくれる。この2作品とも、シニア世代のキャラクターがいなければ物語が始まっていなかったといっても過言ではないだろう。 “家族愛”をテーマにした作品が多いディズニー作品では、シニア世代のキャラクターが登場することで、主人公をはじめとした何世代もの“家族”の物語が紡がれていくのも定番だ。ディズニー&ピクサーの『リメンバー・ミー』(17)では音楽が大好きな少年ミゲルと、記憶を失いかけている曽祖母のココなど、代々音楽を禁止された一族の物語が展開。さらに“死者の国”に迷い込んだミゲルが出会うのはココの母であり、音楽を禁止した張本人でもあるイメルダ。世代を超えて互いに歩み寄ることで、イメルダの過去の悲しい出来事を共に乗り越え、家族の大切さを教えてくれる。 同様に、家族全員が不思議な家から“魔法のギフト”を与えられるマドリガル家の人々を描いた『ミラベルと魔法だらけの家』(21)も、世代を超えた家族の物語が大きなキーとなる。主人公のミラベルだけが家族で唯一魔法を使うことができず、それを受け入れることができない祖母のアルマとの間には距離が生じてしまう。しかし一家に危機が訪れた時、家族を救うために奮闘するミラベルの言動にアルマは心打たれ、両者は次第に和解していく。 ほかにも、亡き妻との思い出と約束を果たすために、思い出の家ごと大冒険に出発する『カールじいさんの空飛ぶ家』(09)のカールであったり、自身の夢のために家族と離れて“もうひとつの世界”で冒険を続ける『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』(21)のイェーガーといった、いくつになっても冒険心を忘れずに挑戦続けるシニア世代のキャラクターも忘れてはならない。彼らのパワフルな姿からは、世代を問わず誰もが勇気をもらえることだろう。 ■貫禄たっぷりの名優ぞろい!実写のシニアも負けてない ここからは20世紀スタジオの作品のなかから、シニア世代の名優が活躍する映画を紹介していこう。まずは、観ているだけでパワーをもらえるほど破天荒なおじいちゃんが大活躍するサーチライト・ピクチャーズを代表する人気作『リトル・ミス・サンシャイン』(06)から。 田舎町アリゾナに暮らす少女オリーブ(アビゲイル・ブリスリン)が全米美少女コンテストの地区代表に選ばれたことから、決戦の地であるカリフォルニアを目指してオンボロ車を走らせる落ちこぼれ一家を描いたロードムービーである本作。皆個性豊かな一家のなかで、ひときわ強烈なインパクトを放つのは、ヘロイン常習者で老人ホームを追い出された祖父のエドウィン。品のない毒舌を炸裂させるけれど、その言葉ひとつひとつが妙に沁みる。演じたアラン・アーキンは本作でアカデミー賞助演男優賞を受賞した。 また、様々な理由を抱えた訳ありのシニア男女7人が、優雅なひとときを夢見てインドの豪華リゾートホテルを訪れる『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』(11)も、年齢に関係なく夢や希望を持ち続ける大切さを教えてくれる一本で、爽やかな感動と心温まるユーモアと共に元気がもらえることだろう。ちなみに7人を演じたのは、ジュディ・デンチにビル・ナイ、マギー・スミス、ペネロープ・ウィルトン、トム・ウィルキンソン、セリア・イムリー、ロナルド・ピックアップと、英国を代表する大ベテランたち。彼らの共演が観られるだけでも夢のよう。 シニア世代と“旅”を描く作品は特に相性が抜群。コメディアンとして活躍していたアート・カーニーが、ネコと共に旅をする老人を演じアカデミー賞主演男優賞に輝いた『ハリーとトント』(74)でしんみりとした気持ちを味わったり、ハリソン・フォードが未開の地を求めて旅をする孤高の男ソーントンを演じた『野性の呼び声』(20)でその映像技術に見惚れるのも一興。もちろんフォードの出演作なら「インディ・ジョーンズ」シリーズもシニア世代の大冒険が見られる一本として必見だ。 そしてシニア世代俳優の貫禄たっぷりの好演を目撃したいならば、シャーロット・ランプリングが厳格で冷静ながら深い葛藤を抱える寄宿学校の校長を演じた『わたしを離さないで』(10)や、先述のジュディ・デンチがミステリーのカギを握る貴婦人ドラゴミロフ公爵夫人を演じた『オリエント急行殺人事件』(17)、さらにアイルランドの孤島を舞台に突然親友への絶交を告げる男コルムをブレンダン・グリーソンが演じた『イニシェリン島の精霊』(22)をオススメしたい。 ここで紹介した作品は、ディズニー公式動画配信サービス「ディズニープラス」にて視聴可能(『ハリーとトント』を除く)。三連休が続く9月は、自宅でゆったりと映画を楽しんでみてはいかがだろうか。 文/久保田 和馬