郵便局拠点に住民の健康サポート、データ集め医療機関や民間企業と共有 福井県や南越前町など
地域の健康づくりのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に向け、福井県と南越前町などは、同町内の郵便局を拠点に住民の健康データを収集、分析する実証事業を進めている。郵便局内に設けた測定機器などで町民の健康管理をサポートするとともに、医療機関や民間企業とデータを共有し、活用できる体制づくりを目指す。 町と県が主体となり、福井新聞社と福井銀行の共同出資会社「ふくいのデジタル」などの企業共同体が伴走。医療面では福井大医学部が協力する。今年5月、総務省の地域デジタル基盤活用推進事業に採択された。 広い町域にコミュニティーが点在する南越前町で、効率的に健康を管理するため南条、河野、古木の3郵便局を拠点に設定。20~70代の町民モニター約60人を対象に、局内に設けた体組成計や血圧計、ウエアラブル端末、ウェブ上の問診などで日々の健康チェックを促している。 データは関係機関に共有され、必要な場合は郵便局から医師や保健師とオンラインで健康相談もできる。河野郵便局でオンライン相談を利用した女性(39)は「データが共有されているので、初診でも的確なアドバイスを受けられた。体の不調を細かく意識するようになった」と話した。 町保健福祉課は「人材が限られる中、住民の支援ニーズの把握と健康意識向上をいかに効率化するかは重要な課題」とし、県健康政策課は「民間の知見も取り入れながら、県全体の健康づくりのDXにつなげたい」としている。 モニター調査は11月末までを予定。来年3月末をめどに実証事業の結果を取りまとめ、県内他地域への展開も視野に検討を進める方針。
福井新聞社