「一流になるためには野球以外の部分も大事」 ヤクルト1位・中村優斗、侍ジャパンの現場で得た実感
◇記者コラム「Free Talking」 1年間追いかけてきた愛工大の中村優斗投手(4年・諫早農)がヤクルトからドラフト1位指名され、プロ野球の世界に飛び込むことになった。 ◆プレミア12、各国のチアリーダー【写真】 この春、プロ野球選手の立ち振る舞いを目の当たりにする右腕を目撃した。3月6日の野球日本代表「侍ジャパン」対欧州代表の強化試合。当時から秋のドラフト候補に挙がっていた中村の取材のため、京セラドーム大阪を訪れた。試合前に選手が参加した募金活動での一幕だった。 中村と同じグループにいたのは、現在プレミア12で日本の4番として活躍する阪神の森下。日本代表4人と欧州代表1人の5人組で来場者の入場を待っている時のことだ。森下が欧州代表選手に大きなジェスチャーで懸命にコミュニケーションを取り、場を和ませていた。「知っている英語をふり絞って会話をされていて、聞いていておもしろかった」 今度は観客が入場すると、大阪開催だったこともあってファンの視線は森下に集中。「森下いるやん!」と興奮気味のファン一人一人に、限られた時間で丁寧に応じていた。 多くの人に夢を与え、時には叱咤(しった)激励を受けるのがプロ野球選手。「森下選手の隣にいた時に自分もみんなから応援される選手になりたいって気持ちが湧いた。一流になるためには野球以外の部分も大事だと思った」と実感を込めた。 侍での経験は、野球に向き合う姿勢にも。これからチームメートになるヤクルトの主砲・村上から学んだ。試合中のベンチで「超一流の村上さんの声が一番通っていた」。全力で試合に臨む姿に感銘を受け、自身も大学リーグで登板のない日や降板後もベンチで意識的に声をからすようになった。 最速160キロの剛球とそれを操る制球力を持つ右腕。ムードメーカータイプというよりも、穏やかで落ち着いた性格で、両親が「優しい子に育ってほしい」とつけた名前がぴったりの好青年。きっとプレーだけでなく、人間性でもファンを魅了するプロ野球選手になるだろう。(アマチュア野球担当・石曽根和花)
中日スポーツ