元「テンダーパーソン」のビアンカが新ブランド 「絶対に見返してやる」
ビアンカ=デザイナー:「テンダーパーソン」を辞めた後、実は一般企業に就職しようとしていたんです。自分で何かを作りたいという考えもそこまで強くなかったし、企業やブランドから、デザインチームのデザイナーとしてのオファーもいただいたので。でも周囲からは「『テンダーパーソン』の肩書きがないビアンカちゃんなんて価値がないよ」という厳しい言葉をもらったんです。私は負けず嫌いな性格なので、逆に「なんかやってやろう!」「自分の進みたい道に挑もう」という気持ちがメラメラと湧いてきてしまった。そこで自分のブランドを始めることにしました。
WWD:「リブリオ メンドンサ」はどのようなブランド?
ビアンカ=デザイナー:私が日々の生活の中で感じたことを、自由な表現でドキュメンタリーのように服に落とし込むブランドです。何かに縛られるのが好きじゃないので、年齢や人種、ジェンダーにとらわれないユニセックスブランドにしました。ファッションが好きで楽しんでいる人に着てほしいです。プリントやディテールを通して、アイテムにメッセージ性を加えることが得意なので、着た人を強く、ハッピーにするお守りのような服を届けます。
私のルーツはブラジルにあります。だからブランド名の“リブリオ”は、私の好きな花であるユリを意味するポルトガル語“LIRIO”に、ビアンカのBを加えた造語にしました。与えられた自由ではなく、自ら自由を掴み取るという気概も踏まえて、“LIBERTY(自由)”というダブルミーニングも込めています。“メンドンサ”は私のファミリーネームです。
WWD:ファーストシーズンの特徴は?
ビアンカ=デザイナー:シーズンタイトルは、ポルトガル語で“反逆者”を意味する「リベルテ」です。ブランドを始める前に人から言われた悔しい言葉に対して、「見返してやる」と思ったことが由来です。
ただ、ブランドを始めると決意した当初は、具体的にどんなことをするべきか固まっておらず、モヤモヤしていました。でも、ふとその感情が、幼少期に歯医者に行く前の嫌な感覚に似ていると気づいたんです。歯医者の予約の1週間前から、カレンダーを見ては鳥肌を立てていたことや、待合室で憂鬱になっていたことを思い出し、コレクションで表現しています。歯のレントゲン写真のようなモチーフをプリントしたブルゾンや、鳥肌に見立てたポンポンを施したシャツ、締め付けられるような心をギャザーで表したストライプシャツなどが代表例です。今の自分にとって洋服を作ることは、歯医者に行くことのように“治療”の側面があります。