[MOM5012]東海大相模MF沖本陸(3年)_“初出場国立行き”の立役者は目覚めた背番号10。監督夫妻も予言?の逆転1G1A「本当に取っちゃった」
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ Sponsored by アディダス ジャパン] [1.4 選手権準々決勝 明秀日立高 1-2 東海大相模高 U等々力] 【写真】「イケメン揃い」「遺伝子を感じる」長友佑都の妻・平愛梨さんが家族写真を公開 先制点を奪われたチームの危機で、眠れるエースがついに目覚めた。東海大相模高MF沖本陸(3年=大豆戸FCジュニアユース)は0-1で迎えた前半40分、右に開いたMF小林晄也(3年)が顔を上げるよりも前に「クロスが出ると分かっていた」とニアサイドにフリーラン。最後はクロスに豪快なダイビングヘッドで合わせ、貴重な同点ゴールを奪った。 東海大相模は今大会、2試合合計5ゴールを奪っていた中、昨季から背番号10を託されている沖本は0ゴール0アシスト。「絶対に点を取るという気持ち」に燃えていた。 先制点を奪われた直後には味方がフリーの状態で強引にミドルシュートを放ち、力のないシュートがGKに阻まれるという場面もあったが、その後も「もっと狙っていきたいと思った」と果敢な姿勢を継続。この強気なメンタリティーが同点弾につながった。 「2回戦と3回戦で点を決められなくて、何もできなかったので今回決めることができて嬉しい」。普段の沖本は「あまりヘディングでは点取んないです(笑)」といい、技術よりも気持ちで押し込んだ一撃。「エースの仕事はチームが苦しんでいる時に助ける役目。しっかり仕事ができてよかった」と胸を張った。 そんなエースの活躍だが、“監督夫妻”には予感があったという。試合後、有馬信二監督は試合前日に会話していたという妻・純子さんとのエピソードを明かした。 「昨日、奥さんと話していて『5人点取ってんだけど、沖本がまだなんだよね』って話したら、(奥さんが)『いや、明日取るんじゃないの?』なんて言ってたんで、『お前もそう思う?俺もそう思うんだけど』って(笑)。そしたら本当に取っちゃった(笑)」(有馬監督) そんな背番号10はこの日、運も持っていた。後半25分、相手のクリアボールをペナルティエリア際で拾うと、シュート性のボールがMF高畑旺崇(3年)の足元にピタリ。沖本にとってはシュートミスだったが、これを高畑がゴールに沈め、試合を決める決勝ゴールとなった。「パスは狙ってないけど結果的に得点になって、高畑が決めてくれて良かった」。沖本自身はそう苦笑い気味に振り返ったが、数字の上では立派な1ゴール1アシストとなった。 新年早々に飛躍の時を迎えている沖本だが、ちょうど1年前には絶望の最中にあった。2年時から期待を込めて背番号10を託されたものの、昨季は全国出場を成し遂げられず、「何も結果を残せず、自分自身も何もできなかった」と悔いを残していた矢先、昨年1月3日に左第5中足骨を骨折。そこから「先が見えないまま」の長期離脱を強いられた。 それでも「チームを引っ張る意志を持って1年間過ごしてきた」と沖本。復帰後はコンディションが万全に戻らない時期も続いたが、インターハイ予選でしっかりと結果を出し、3年ぶりの全国出場に導くと、冬には予選4ゴールの大活躍で史上初の選手権出場も達成。「あそこから立ち直ってこられたのは応援してくれた人たちのおかげ」(沖本)。支えてくれた周囲への感謝も胸に、次は国立のピッチに立つ。