第一高周波工業、電池部品向けロール研削盤を拡販。独工作機械ヘラクレスと協業へ
高周波曲げ加工・表面処理、誘導加熱機器などの製造販売を手掛ける第一高周波工業(DHF、本社・東京都中央区、社長・平山鋼太郎氏)は、車載電池部品メーカーからの需要が見込めるロール研削盤の国内市場開拓を図る方針だ。大型工作機械大手のドイツ・ヘラクレス社と合弁会社設立を前提に、販売や据え付け、保守点検の体制を整えて高精度な同社製品の普及を図る。年内には市場調査を完了し、年明け以降に本格的な協業に乗り出す。 DHFは熱処理加工の先進企業として1950年(昭25)に創業。高周波誘導加熱で加工した鋼管や鉄筋のほか、圧延や矯正など向けの各種ロール製品も手掛けている。リチウムイオン電池の電極シートの生産に使うロールの製造や表面研削による再生加工では、直近の約25年間で1千本近い実績を誇る。 ヘラクレスは1911年(明44)創業。ドイツ国内に五つの生産拠点を構え、研削盤や旋盤、中繰り加工機、表面つや消しの放電ダル加工機など大型加工機械の世界的な製造販売会社で、顧客の多様なニーズに対応している。子会社の独ワールドリッヒ・ジーゲンとともに日本の鉄鋼・アルミ・重電メーカーへ多種多様な加工機などを納入してきた。 特に得意とするのが、ロール表面のゆがみや凹凸をなくす研削盤だ。近年では高度な研磨技術を有する職人技に頼らない、測定機器や研削機のデジタル制御に注力している。研削盤の販売実績は全世界で335台、このうちアジアは168台を誇る。 DHFは昨年、ヘラクレスから協業の打診を受けて事業性を検討。国内の製鉄や製紙業などが保有する大型研削盤の老朽化が進む中、自社の技術や人材を生かしながら、電池産業で研削盤向けを中心に更新需要を取り込めると判断した。 平山社長は「ヘラクレスにとっても研削盤をはじめとした自社設備の据え付け指導や交換部品の供給などのサービス体制を国内で強化でき、設備投資の最新情報の入手や買い替え需要の掘り起こしなど日本市場の開拓が可能になる」と協業の利点を説明。市場調査で将来性を見込めれば合弁会社を設立し、営業強化を図っていくという。 問い合わせは同社経営戦略部=℡03―5649―3725へ。