「スクランブラー」は普通二輪免許で乗れる車種も充実! オフロード車と何が違う?
映画でも活躍したスクランブラーバイク
ほかにも、1959年に登場したトライアンフの650ccツイン(2気筒)モデル「TR-6トロフィー」も、往年のスクランブラーバイクとして有名です。オンロードモデルの「T110」と同系のエンジンを搭載し、当時、北米のオフロードレースなどで大活躍したモデルですが、1963年に公開されたハリウッド映画「大脱走」に使われたことでも知られています。 映画ファンならご存じの通り、第2次世界大戦を描いたアクション大作が大脱走。主人公のスティーブ・マックィーンをはじめ、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーンなど、当時の人気アクションスターが数多く出演し、まさにオールスターキャストで映画化した戦争ドラマです。 その劇中で登場するのが、軍用仕様のTR-6トロフィー。名優スティーブ・マックイーン扮するアメリカ兵が、ドイツ軍の捕虜収容所から脱走するために、このバイクを駆って疾走。有刺鉄線付きの大きなフェンスを超える迫力のジャンプを披露し、大きな話題となりました。
オフロードバイクの源流がスクランブラー
話はやや脱線しましたが、このように、メーカーが、オンロードバイクをベースに、オフロード走行にも対応する装備を施したのがスクランブラーバイクだといえます。昔からのバイクファンには、カスタムバイクのスタイルとして知る人も多いでしょうが、その成り立ちは、市販車が先だといえます。 ちなみに、その後、前輪を後輪より大径化したり、専用の前後サスペンションなどを装備した、いわゆるオフロードバイクが登場。スクランブラーが、オンロードバイク的なフォルムなども残していたのに対し、それをより進化させ、さらに悪路走破性に特化したスタイルや装備を持たせたのがオフロードバイクだといえます。 その意味で、スクランブラーは、現在のオフロードバイクの源流となるバイクだといえるでしょう。
普通二輪免許で乗れるスクランブラーに注目
スクランブラーバイクは、前述の通り、近年、国内外のメーカーがさまざまな市販モデルをリリースしています。 例えば、大排気量モデルでは、803cc~1079ccの豊富なランアップを揃えるドゥカティの「スクランブラー」シリーズ。 また、BMWモトラッドでは、1169ccのボクサーツイン(水平対向2気筒)の「R nine Tスクランブラー」を用意します。 さらに、トライアンフでも、1200cc・並列2気筒の「スクランブラー1200/1200XE」、900cc・並列2気筒の「スクランブラー900」などをラインアップしています。 加えて、近年は、スクランブラーのスタイルを持つバイクでは、普通二輪免許でも運転できるスクランブラーバイクが充実していることも特徴。近年、増加するバイク初心者などに対応するモデルが続々と登場していることも注目です。 例えば、国産車では、前述したホンダのCL250。また、ヤマハの原付二種モデル「XSR125」も、ブロックパターンのタイヤやアップライトなハンドル、丸目一灯ヘッドライトなどを装備。これらにより、スクランブラー的なスタイルを持つ1台だといえるでしょう。 ほかにも、ホンダの125ccモデル「CT125・ハンターカブ」や、「クロスカブ50/110」といったモデルも、アップタイプマフラーなどを装備し、街乗りからアウトドアまで幅広いシーンに対応。こうした装備により、やはりスクランブラーバイクの仲間だといっても過言ではないでしょう。 さらに、輸入車では、2024年にトライアンフから「スクランブラー400X」が登場。398.15cc・水冷単気筒エンジンを搭載するこのモデルも、大排気量モデルの多い輸入車ながら、普通二輪免許で運転できるスクランブラーとして注目されています。