テクニクスのカートリッジサスで「安心要素」を得る【最新国産トレールバイクで伝統の日高エンデューロに挑戦! 宮崎大吾の日高参戦記 VOL.4】
ノーマルからテクニクス製サスペンションへ換装!
まずはスタンダードサスをクローズドカートリッジ・伸圧ダンパーアジャスター付きのオリジナルサス「TRIC COMP KIT」に換装します。リアはリザーブタンクと、HI/LO2WAYの伸圧アジャスターが装備された「TEC5.2 Perfomance Shock」を導入しました。 純正フロントフォークのSFFシステム(片側ダンパー、片側スプリング)から、レーサーモデル同等のフォーク左右にスプリングと積層シム式カートリッジダンパーを持つ構造にアップグレード。コンプレッション、リバウンドの減衰調整が可能です。 無段階に調整可能なプリロードアジャスターと流路独立型リバウンドアジャスター、High・Lowスピードコンプレッションアジャスターを備えたリアショック。軽量で放熱性に優れるアルミニウム製のボディとオイル量を60%増やす別体式リザーバータンクを装備します。
テクニクス社屋にてCRF250Lをカスタム!
埼玉県春日部市にあるテクニクスさんの社屋では、車両持ち込みも可能となっています。早速私のCRF250Lを持参して、ベテランの土田メカニックに換装していただきました。 元々このサスペンションキットはCRF250-LでJNCCや日高に参戦したホンダ社員ライダー、世利和輝さんの要望にテクニクスさんが応えて完成し市販したものです。「今回取り付けたものはダートでの運動性能に振っていて、左右それぞれにダンパーとスプリングが入ります。 スタンダードの片側ダンパー、片側スプリングのサスはアジャスター1クリックの調節が大味になってしまうのですが、キットを組み替えることで微調整が可能になります。またスタンダードサスはボトムブラケットの剛性に頼るしかなく、アクスルシャフトも細いので、コンペモデルのSFF(片側ダンパー、片側スプリング)よりも動きが不安定になりやすいです。 両側のサスを同じ条件にすることでバランスが取れ、ボトムブラケット剛性の弱さも打ち消せます」と教えていただきました。 またリアサスペンションに関してはCRFは測定したことがないそうですが、セロー250の場合はオフロードコースを走ると140度くらいまで上がるそうです。風が当たるところにタンクを装備することでサスペンションのライフも保つ効果があるとのこと。 スタンダード(写真左)とテクニクスTRIC COMP KIT(写真右)の重量を測定しました。スタンダードは8.65kg、TRIC COMP KIT8.8kgと、構造変更もあり、やや増量。 リアショックはスタンダード(写真左)3.5kgに対して、テクニクスTec Performance Shock(写真右)が3.3kgということなので、前後トータルでほぼ重量差がないという結果に。リアショックの外付けダンパーアジャスターが追加されてもなお、材料置換によって軽量化されているのがポイントです。 元々ロードバイク用サスペンションにも開発、採用されてきたNHP(写真左)。特殊なメッキコーティングをアウターチューブに施すことで、適切な摺動性を実現しています。またサスペンションキットにはSKFフォークシール(写真右)も採用されています。こちらはフリクションロスの低減と、耐久性の向上を促す定番のフォークシールです。 渋いカラーがバイクを引き締めるNFP(Night Hawk Plating)処理を施されたアウタチューブの効果は、一言で言えば「摺動性の向上」ですが、単純にフリクションロスを低減させるものではなく、接地感の高さを狙ったものです。 サスペンションの初期作動の良さはテクニクスさんのサスチューニングの概念の根本をなすところですが、ただ動けば良いというものではなく、ストローク速度がゼロ=サスペンションが伸び切った状態でのフリクションはむしろ大事だという考えを、特殊なメッキ処理で実現したのがこのNHPというわけです。 何度か試乗していますが、本格的に長距離を走るのは今回が初めてなので、インプレッションも今後の記事で書かせていただきます。 さて、無事サスペンションの換装が終了しましたので、社内を見学させていただきました。ここは作業行程の一部をどなたでも見学できるスペースがありますので、ぜひ行って見てください。サスペンション装着車のレンタルや試乗などもぜひ! ライダー出身のスタッフも多いテクニクスは、様々な要望に応えてくれる確かな技術と、経験、信頼性があります。歴代の社屋にお邪魔してきましたが、現在の社屋は広くて駐車場にも余裕がありますよ!
宮崎大吾