【巨人】甲斐拓也に背番号「10」を〝禅譲〟 阿部監督は〝思い人〟を後継指名
巨人はソフトバンクから国内FAを宣言した甲斐拓也捕手(32)の入団会見を26日に都内ホテルで行った。5年15億円の大型契約で、新たな背番号は阿部慎之助監督(45)が現役時代につけた「10」に決まった。自ら甲斐を〝後継指名〟した格好だが、実は指揮官にとって長年の「恋人」だった。 【写真】上沢直之はソフトバンク入団会見で神妙「本当に申し訳ないと思います」 自身が背負った10番のユニホームを手渡した阿部監督は「僕も思い入れのある背番号でしたし。着てもらえるなら甲斐君しかいないなと思っていた。実現してよかった」と最大限の誠意を示した。一方、甲斐は入団の決め手について「阿部監督です」と即答。相思相愛ぶりに上機嫌の指揮官は「包容力がある。それが一番。彼がうちの選手にすごくいい影響を与える」とチームへの〝甲斐効果〟を期待し「僕はちょっと鉄拳制裁とかしたりするぐらいなので、包容力があったか分からないですけど」と口も滑らかだった。 甲斐の獲得は阿部監督にとって長年の悲願だった。現役だった2018年12月には「カープが(日本シリーズでソフトバンクに)負けたのは甲斐のせい。足をすべて封じられた」と感嘆。同年の巨人は広島に7勝17敗1分けで惨敗し、リーグ3位に終わった。鯉はどうしても倒せなかった〝天敵〟だったが、その広島の機動力を封じた上で日本一(4勝1敗1分け)に導いたのが甲斐の肩だった。 当時の阿部監督は「盗塁死は野球の流れをパンと変える。盗塁でアウトになった次の回は何かあると思って守備についた方がいい」。〝甲斐キャノン〟こそがシリーズの分岐点になったと指摘していた。また、当時プロ1年目だった大城卓については「(配球について)『こうだぞっ』と言ってあげても『分かってる?』と聞きたくなる。ボーッとしている。『俺ならこうしてた』と言っても『ほお…』。昔なら蹴ってる」とジョークを交えながらも物足りなさを口にしていた。 いずれにせよ、若き鷹の正捕手が長らく目に焼きついていた〝思い人〟だったことは確かだ。この日も「現役時代、ソフトバンクに(19、20年日本シリーズで)8連敗しているので。それだけです」とたたえた。13年ぶり日本一奪回へ重要なピースが加わった。 (金額は推定)
坂庭健二