最高額は3億円、フレディ・マーキュリーの遺品オークションで最高値の落札品は… 「日本に恋した」伝説のシンガー、歌川広重の浮世絵や着物も出展
伝説的なイギリスのロックバンド「クイーン」のボーカルを務めたフレディ・マーキュリーの遺品が9月、ロンドンの競売大手サザビーズでオークションにかけられた。大の親日家として知られ、日本美術コレクターだったマーキュリー。出品物は1406点にも上り、映画タイトルにもなった代表曲「ボヘミアン・ラプソディ」の直筆の歌詞草稿や作曲に使ったピアノに加え、江戸時代の浮世絵、ピカソの絵画も。記者はセレブが集まる競売会場に行ってみた。(共同通信ロンドン支局 宮毛篤史) ▽アフリカ生まれ、幼少期はインド マーキュリーは1946年、当時イギリスの保護領だったアフリカの島国ザンジバルで生まれた。幼少期をインドの寄宿学校で過ごし、7歳からピアノを習った。家族でイギリスに渡った後に美術を学び、1971年に4人組バンド、クイーンとして活動を始めた。 クイーンは「ウィ・ウィル・ロック・ユー」「ボーン・トゥ・ラブ・ユー」など数々の名曲を生んだ。しかし、世界的なロックスターとなったマーキュリーはエイズウイルス(HIV)に感染し、1991年に45歳で亡くなった。
元恋人で親友のメアリー・オースティンさんが遺産を譲り受け管理していたが、高齢となり、身辺整理のため個人的な贈り物や2人の写真を除いて手放すことにした。 ▽紀元前から続くオークション サザビーズは1744年にロンドンで創業したオークションハウス(競売会社)だ。年間売上高は80億ドル(約1兆2千億円)規模に上り、同じロンドンを拠点とするクリスティーズと双璧をなす。オークションの歴史は古く、紀元前500年のバビロン(現在のイラクにあった古代バビロニア帝国の中心地)では花嫁が競売にかけられていたとされる。 マーキュリーは生前、サザビーズの常連客で「もし英国を離れることになったら、寂しく感じるものの一つがサザビーズだろう」と語っていた。 サザビーズはオークション前に競売品を展示し、落札希望者が訪れる。マーキュリーはオークションの際に会場に現れず代理人に競りを任せていたが、品定めにはお忍びで来ていたという。