最高額は3億円、フレディ・マーキュリーの遺品オークションで最高値の落札品は… 「日本に恋した」伝説のシンガー、歌川広重の浮世絵や着物も出展
▽14万人来場 ロンドンの高級ショッピング街にあるサザビーズでは8月4日からマーキュリーの誕生日の9月5日まで約1カ月にわたり大規模な展示会が開かれ、14万人を超える来場者を集めた。 行列は最長で400メートル近くまで延び、入館するのに2時間半かかった。日本から旅行ツアーも企画された。 記者が8月に会場を訪れると、建物の入り口に展示会を知らせる赤い旗とマーキュリーのトレードマークの大きな口ひげが飾られていた。 出迎えてくれたセールス責任者のデイビッド・マクドナルドさんは「通常は3~4日、長くても1週間ほどしか出品物を展示しない。建物を丸々使って1カ月も展示するのは本当に珍しい」と説明した。 ▽日本を愛したマーキュリー クイーンは1975年、ポップ志向を強めたアルバム「シアー・ハート・アタック」のツアーで初めて日本を訪れた。マーキュリーは熱狂的な歓迎を受け、ファンの礼儀正しさや日本文化に魅せられたとされる。日本の美術工芸品を買い付けるようになり、1986年に最後に訪日した際は「輪島塗」の漆器で有名な石川県輪島市などを巡った。
サザビーズの会場の扉を開け、最初に目に飛び込んできたのが「日本に恋して」と題した日本関連の展示だ。鈴木春信や喜多川歌麿の浮世絵、つぼや漆器などが整然と飾られ、美術館のようだった。違いは競売後は個人所有物になることだ。それぞれ「推定落札額」が表示されていた。「人の手に渡るともう見られなくなるから」と話す来場客もいた。 ▽クイーンの象徴、王冠も 部屋ごとに「ドレッシングルーム」「着物」などとテーマが設定されていた。圧巻だったのは2階に上る階段手前のスペース。数々の音楽賞を獲得した際の記念レコードが壁一面に並び、中央にはマーキュリーがステージで着た深紅のケープと王冠。多くの客のフォトスポットになっていた。ほかにも愛読本や家具、食器、楽器があった。 これらの品は倉庫で保管されていた訳ではなく、自宅に飾られていたと言う。マーキュリーが単なるコレクターではなく、作品を心から愛してたことがうかがえた。マクドナルドさんは「全ての品が丁寧に、美しく保管されていた。フレディはある意味、部屋そのものを芸術品として捉えていた」と語った。