最高額は3億円、フレディ・マーキュリーの遺品オークションで最高値の落札品は… 「日本に恋した」伝説のシンガー、歌川広重の浮世絵や着物も出展
▽セレブ続々、軽妙トークの司会者 オークションは「インターネット・オークション」と「ライブ・オークション」を組み合わせて行われた。ライブは入札者が会場に訪れ、司会者が1品ずつ競売にかける。出品数が多く、複数回に分けて行われた。ネットオークションは、オンライン上で完結する。 ライブ初日の9月6日は「イブニング・セール」と題して午後5時に始まり、サザビーズの男性従業員は黒のちょうネクタイとタキシード姿、女性はドレス姿で出迎えた。こうした装いは1980年代のスタイルで、マーキュリーに敬意を払い「恩返しするため」に行ったと言う。 競売品の目玉の一つが浮世絵師、歌川広重の木版画「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」だった。夕立が急に降り出し、相傘をしながら大はしの両岸に急ぐ町人の様子が描かれた作品で、ゴッホが模写したことでも知られる。 マーキュリーは当初サザビーズでこの浮世絵を落札しようとしたものの入札額が跳ね上がり断念したが、その後に巡り合わせがあった。サザビーズの日本美術担当、ジョン・アジェティさんは「フレディは本当にがっかりしたが、なんと日本で探して見つけた。とても良い状態だった」と教えてくれた。
翌7日はステージ衣装や歌詞が競りに。午前10時の開始を前にサザビーズに高級車が続々と横付けされ、着飾ったり、クイーンのTシャツを着たりした参加者が姿を現した。「(自宅の)近所なので歩いてきた」と話すセレブもいた。 司会者はあいさつもそこそこにオークションの開始を告げ、議事はてきぱきと進行。身を乗り出し入札額を伝え、「2万8千(ポンド)、3万、おっと次は3万5千にジャンプしました」と実況。参加者は手札を挙げて応札する。司会者が応札に気づいていない時は、会場の隅に配置された従業員が「ビター(入札者)!」と大声を張り上げていた。 通貨単位はポンドだが、米ドルやユーロ、円といった主要通貨に自動換算され、モニターの数字がせわしなく変わった。一品当たり早ければ1分ほどで終わる。長くても数分だった。 司会者の軽妙なトークも魅力だ。一騎打ちの激しい競りが終わりを告げようとした時に新たな入札者が現れると「小さなネズミがやって来た」と客をネタに。誤って2回続けて入札した参加者には「自分を敵に回さなくてもいいよ」と話しかけ、会場の笑いを誘った。