「私の雇用はどうなるのか...」能登半島豪雨から1週間 被災者が抱える「経済的な損失と不安」
「あの大雨の影響で店内は浸水して電気系統が壊れ、スーパーの冷蔵庫や冷房設備はすべて壊れました。レジもダメになりました。2台で300万円もするのに……。移動販売で使用していた軽トラ8台も水に浸かって廃車です。損害はあまりにも大きい」 【車がペシャンコに...!】能登半島を襲った豪雨の生々しい被害の爪痕 石川県輪島市町野町にある「もとやスーパー」に勤務する46歳の男性は、本誌記者にそう言うと肩を落とした。 ◆豪雨の濁流によって乗用車がペシャンコに 9月20日から23日にかけて石川県で発生した豪雨は、復興途中の能登半島に甚大な被害を与えた。9月28日時点で11人の死亡が確認され、行方不明者は5名。避難者は約450名、4253戸で断水が続いている。 22日に輪島市入りした記者が目にしたのは、いたるところに堆積した大量の土砂だった。川の氾濫で街に押し寄せた濁流によって、電柱並みの太さの流木が農機具小屋を貫き、跡形もなくひしゃげるほど乗用車をひっくり返した。市の中心部にあるドラッグストアからは、カップ麺やパンなど食料が姿を消していた。前出の男性が被災時の様子を明かす。 「水がスーパーに入ってこないよう、自動ドアを締め切っていたんですがどんどん水嵩が増していって『バキッ』という音とともに突き破られました。従業員に『逃げるぞ!』と声をかけて、急いで避難しました」 「もとやスーパー」の1階部分は水没。店内には泥まみれの商品が散乱したという。営業再開のメドはたっていない。 「店を開けられない以上、私の雇用がどうなるのかも不透明です。今後、生活していけるのか不安でならない。営業を再開するにしたって、資金もマンパワーも足りない。ボランティアを募るのか……。『もう無理』と心が折れそうです」 ◆2tトラックの荷台が流される やはり甚大な被害を受けた珠洲市を訪ねると、建設機械の販売会社「コマツ石川株式会社 穴水支店珠洲営業所」の従業員が事務所の復旧作業に追われていた。 「会社の敷地に停めていた2tトラックの荷台部分が濁流で流されて道路を塞いでしまったんです。パトロールしていた消防の方から連絡を受けて、出社しました。工事用の機械が置いてある倉庫の中もグチャグチャ。酷いもんですよ……」 巨大地震と殺人豪雨――天災の連続に打ちのめされつつ、それでも能登半島の人々は前を向き、復興へ向けて懸命に歩を進めている。
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