玉山鉄二、年齢を重ねるごとに増す“渋み” 『笑うマトリョーシカ』鈴木役の重厚な存在感
怪しい社長役からオーケストラの団長役まで、玉山鉄二の“奥行き”の凄さ
清家の隣にいた頃の鈴木は『CODE-願いの代償-』(読売テレビ・日本テレビ系)で玉山が演じたかなり偏りのある考えを持つ一流企業の社長役を思い起こさせる。こちらでは全く思惑が見えない薄気味悪さを終始漂わせていた。 そこから一転、『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』(TBS系)では誠実で心優しいオーケストラ団長役を好演し、純粋で一生懸命であるが故にクスリと笑える可笑しみや愛嬌が溢れ出るキャラクターだった。玉山が主演を務めた朝ドラ『マッサン』(NHK総合)での主人公のコミカルな側面が思い起こされた。 常に策略を巡らせていそうなキャラクターから隙のある憎めないキャラクターまで対照的な役どころを演じてのける玉山は、年齢を重ねる毎に渋みや妖艶さが増し、普段は抑えたトーンの中でどの部分をより染み出させるかで全く異なる表情を見せてくれているように思える。本作の敏腕ジャーナリスト・道上香苗(水川あさみ)が鈴木に対して抱いた第一印象を「ポーカーフェイスの下にいろんな感情や思惑を隠している策士」と表現したが、まさに玉山だからこその奥行きがそのまま生かされたかのような役どころだったのだろう。 さて、道上と鈴木はBG株事件の真相に辿り着けるのか。浩子が成し遂げようとしている“復讐”とは何なのか。鈴木がこの真相の先に、自身の存在意義や新たな活路をどこに見出すのかも気になる。
佳香(かこ)