スポンジチタン24年度国内価格交渉、20%弱値上げ。大阪チタニウムと高炉が合意
大阪チタニウムテクノロジーズが高炉メーカーと進めていたスポンジチタンの2024年度国内価格交渉は引き上げで決着した。上げ幅は前年度比20%弱。スポンジチタンはシェアが大きいロシア材の代替需要が増えており、世界的に需給タイトな状況が続いている。数量の確保を優先する需要家側が値上げを受け入れた格好だ。 値上げは7年連続。前年度の30%に続く大幅な引き上げとなる。需給タイト感に加え、スポンジチタンの製造過程で多量に使う電力費といった製造コストを反映した形で、鉄鋼各社にとってはコスト増の要因となる。 スポンジチタンは欧米の航空機産業向けを中心とした高品位品の需要が旺盛だ。新型コロナ禍で減少していた航空需要の回復に加え、ウクライナ危機を背景としたロシア材の代替需要も加わり、航空機向けを主力とする大チタに対する引き合いが増えている。 同社の尼崎工場(兵庫県尼崎市)はフル生産が続いており、設備の点検・保守費用も増えている。今回の値上げによるマージン改善を通じ、安定供給を継続するためのコスト増分を吸収したい考え。 鉄鋼各社のチタン事業は化学プラントなど一般産業向けが主力で、航空機向けは少ない。鉄鋼各社も販売先に対し展伸材価格の引き上げに動いており、今後は値上げの影響が川下にも広がりそうだ。