岸田首相が米議会の演説で示した「グローバル・パートナー」への変貌 中国が危機感「歴史の転換点になってしまう」
【八木秀次 突破する日本】 国内では軽んじられているが、米国での存在は大きかった。岸田文雄首相は11日午前(日本時間12日未明)、米連邦議会上院下院合同会議で演説をした。 【写真】米上下両院合同会議での演説で拍手を浴びる岸田文雄首相 演説を聞いた議員らは「米国で岸田氏の存在はあまり知られていなかったが、今回は岸田氏にも米国にも素晴らしい機会となった」(ステニー・ホイヤー下院議員=民主党、朝日新聞13日付)、「これまで聞いた日本の指導者の演説で最も印象的だった」(30年近く下院議員を務めるシーラ・ジャクソン・リー氏=民主党、産経新聞13日付)と語った。 その内容と歴史的意義は国内でもっと評価されていい。 「米国は独りではありません。日本は米国とともにあります」 こう岸田首相が述べると、議場内は万雷の拍手に包まれた。 岸田首相はその前に「米国が何世代にもわたり築いてきた国際秩序は今、新たな挑戦に直面しています」「自由と民主主義は現在、世界中で脅威にさらされています」と述べ、中国・北朝鮮・ロシアの名前を挙げた。 そして、「ほぼ独力で国際秩序を維持してきた米国、そこで孤独感や疲弊を感じている米国の国民の皆さまに、私は語りかけたいのです」と、内向きになりがちな米国民の心理をおもんばかりながら、「世界は米国のリーダーシップを当てにしていますが、米国は、助けもなく、たった一人で、国際秩序を守ることを強いられる理由はありません」と述べた。 そのうえで、「皆さま、日本は既に、米国と肩を組んでともに立ち上がっています」とし、その後に述べたのが先の「米国は独りではありません」との発言だった。 さらに、「(日本は)第二次世界大戦の荒廃から立ち直った控えめな同盟国から、外の世界に向け、強く、コミットした同盟国へと自らを変革してきました」とし、国家安全保障戦略の改定、防衛予算の対GDP(国内総生産)比2%への増額、反撃能力の保有などの岸田政権での成果を挙げ、「私自身、日米同盟を一層強固なものにするために、先頭に立って取り組んできました」と述べた。 そして、「日本はかつて米国の地域パートナーでしたが、今やグローバルなパートナーとなったのです」とし、「今日、私たち日本は、米国のグローバル・パートナーであり、この先もそうであり続けます」と演説を結んだ。