カルビー、フルグラの余剰オーツ麦がビールに 開発3年の舞台裏
ターゲットは40~50代の女性
気になるのは、飲んでミーノの味覚設計だ。前述した通り、甘さと苦味が絡み合う味わいはユニークに感じるが、なぜこのような味覚設計にたどり着いたのか。カルビーマーケティング本部 miinoチームブランドマネージャーの小岩幸太氏が説明する。 「ミーノは豆をまるごと使用した素材感の強いブランドで、豆ならではのタンパク質が豊富でヘルシーだからこそ、40~50代の女性が主な購買層だった。そのため女性にも飲みやすいようにフルーティーさを感じられる味わいに設定した。かつ、自分のためにお金や時間を使える余裕が出てくる年齢層なので、品質や製法にこだわったレシピを採用した。 ネーミングも女性層を考慮して、かわいらしさを演出し、パッケージデザインもポップで親しみやすいイメージに。クラフトビールはどちらかというと、洗練されたスタイリッシュなイメージが先行し、飲んでミーノも開発段階ではクールな印象を与えるブランディングだった。ただ、協同商事コエドブルワリーさんの助言もあり、想定するターゲットや味覚に合わせてポップに路線変更した」 こうした商品設計は、協同商事コエドブルワリーにとってもプラスに働いた。 「カルビーとのコラボなので、当社としても相互送客を見込めるチャンスと感じていた。そこで、クラフトビールのライトユーザーでも、気軽に手に取ってもらえるようなデザインにして、親しみやすさを演出した。アロマホップには柑橘(かんきつ)系やパッションフルーツを感じられる品種などを組み合わせた」(田邊氏) 両社初のコラボだったということで、難航する局面ももちろんあった。カルビーとしては法律的な側面から社内進行が慎重になり、協同商事コエドブルワリーにとっては製造量や流通のスケール調整が必要だったことで、商品化までおよそ3年を要した。 だからこそ両社は、第一歩が踏み出せたことに大きな意義を感じてもいる。2024年8月6日から流通している出荷数はおよそ1万2000缶と、まずは様子を見つつの展開となるが、今後は増産や第2弾の構想も進んでいるようだ。
佐藤 隼秀