「トランプリスク」に身構える自動車業界 EVシフト、5年以上の遅れも
ソニー・ホンダモビリティが試金石
25年は、成長領域でクルマの価値をどう高めていけるかがより問われる年になるだろう。SDV、自動運転車はAIを活用する。自動車業界の主要な競争軸はAIへ向かう。 そうした中、25年に最も注目されるのがソニーグループとホンダが共同出資するソニー・ホンダモビリティだ。同社が開発を進めているEVセダン「AFEELA(アフィーラ)」の先行受注が始まる。アフィーラは、AIを活用してソフトのアップデートで機能が追加・強化されるSDV。世界でブランド力のあるソニーグループとホンダの技術を駆使してつくったニッポン発のSDVが市場でどのような評価を受けるのか。アフィーラの動向は、日本勢の次世代車開発に影響を及ぼすだろう。 ソニー・ホンダモビリティの川西泉社長は「エンターテインメントに強みのあるソニーの知見やノウハウを生かし、新しい価値を創り出したい」と意気込む。25年1月に米ラスベガスで開催されるテクノロジー見本市「CES」で注目される車両の詳細が発表される見込みだ。 ●トランプ氏に身構える日本勢 一方で今、日本の自動車業界が身構えているのが、米大統領に就任するトランプ氏の動向だ。「米国第一主義」を標榜し、米国内での自動車産業のサプライチェーン(供給網)から中国企業を追い出す動きは加速する見通し。さらに中国以外の国の輸入品にも関税を課す方針だ。テスラのイーロン・マスク氏とも親密な関係となっており、中国車だけでなく日本車排除に動く可能性もある。 日本の多くの完成車メーカーが進出するメキシコからの米国への輸出についても関税強化の姿勢を見せており、マイナスの影響が懸念されている。
小原 擁