走りを極めたスーパースポーツセダン「ダットサン・ブルーバード1600SSS」。サファリラリーを制したその実力とは【歴史に残るクルマと技術033】
人気を加速した1600SSS(スーパースポーツセダン)の登場
SSSシリーズが初めて登場したのは2代目ブルーバードである。1964年に1.3L直4 OHVツインキャブ・エンジンの「1300SS(スポーツセダン)」がデビューし、1966年にサファリラリーで日本車初のクラス優勝を果たした。さらに1965年には「1600SSS」が登場して国内レースで活躍した。 そして3代目で登場した1600SSSは、エンジンを前モデルの最高出力90PSの1.6L直4 OHV SUツインキャブ(R型)から、100PSを発生する1.6L直4 SOHC SUツインキャブ(L16型)に換装。最高速も160km/hから、3代目では165km/hに向上した。 1600SSSの車両価格は73.5万円で、現在の価値では約545万円に相当。一見ごく普通のセダンでありながら、優れた走りで多くの人を魅了した1600SSSは、3代目ブルーバードの人気を加速、2代目でコロナに奪われた小型乗用車の首位奪回に大きく貢献したのだ。
ブルーバード1600SSSが成し遂げたサファリ完全優勝
当時のサファリラリーは、東アフリカのケニアとウガンダの両国の約5000kmの悪路コースで行われる、当時最も過酷なレース。ここで優勝することは、市販車の実力の高さを実証することになるため、多くのメーカーが果敢にチャレンジした。 満を持して1600SSSが参戦した1970年の第18回サファリラリーは、雨に見舞われた悪条件で開催され、ライバルは、ポルシェ、フォード、プジョー、ボルボなど外国勢だった。レースは、ポルシェとの一騎打ちとなり、1600SSSはポルシェを追走する形で展開。1600SSSは、2位と3位でポルシェにプレッシャーをかけ、逃げるポルシェは逃げ切りを図るが、無理がたたったのかついにエンジンが焼き付きを起こした。 その結果、ブルーバードがトップを奪取、さらに2位と4位、7位も占めて念願の総合優勝、世界制覇を成し遂げた。その後も、日産はサファリラリーで1971年から2連勝と1979年から4連勝を飾るなどして、「ラリーの日産」の名声を獲得したのだ。