大谷翔平のスライダーから「音が聞こえたんです。シュルルルって…」甲子園で花巻東を撃破も…大阪桐蔭“黄金世代”の副将が語る「衝撃の記憶」
エンゼルスからドジャースに移籍し、今季も活躍を見せる大谷翔平。だが、大谷が花巻東高3年時に甲子園の頂点に立ったのは、その年、春夏連覇を達成した大阪桐蔭高だった。かつてはメジャーMVPを擁するチームの「上を行った」大阪桐蔭“黄金世代”の選手たちはいま、どうしているのか。チームの元気印だった副将・白水(はくすい)健太さん(29歳)にかつての記憶を聞いた。(全2回の第2回/1回目から読む) 2012年3月21日。 【写真で比較】「こ、これが音がするスライダー…!?」長~いリーチから魔球を投げる高3の大谷翔平…藤浪晋太郎や森友哉など春夏連覇の“黄金世代”大阪桐蔭高の選手たち&副将だった白水監督の現在も見る この年の春のセンバツ甲子園、大会第1日目の第3試合は、5回を終え0-2。 中盤を過ぎ、大阪桐蔭は劣勢に立たされていた。 「気が付いたら、『もう5回? 』って感じでした。チームとしては(先発の大谷翔平に)球数をできるだけ投げさせるという方針だったんですけれど、5回までは点が取れる気がしなかったですね」 だが、6回表に先頭の3番・水本弦が四球で歩き、4番の田端良基が中前にしぶとく落とすポテンヒットで無死一、二塁と大きなチャンスを作った。 そこで打席が回ってきたのが5番打者の白水健太だった。 「送りバントのサインが出たんですけど、あの時の送りバントほど緊張したことはなかったですね。足も手も震えていたんですよ。5回以降が勝負だと皆で言い合っていたので、絶対に決めないといけない状況だったので」 何とか犠打を決め、6番の安井洸貴の二ゴロの間に三塁走者が還り1点。さらに8番の笠松悠哉の適時二塁打で2点を挙げ、逆転。7回には田端の2ランが飛び出し、5-2と突き放した。
最初は「捕れるわ」と思ったはずの打球が…
だが、この試合で今でも鮮明に記憶しているのは、センターのポジションから見つめた2回に大谷が放った特大アーチだった。 「あの打球は、忘れもしないですよ。打球が飛んだ瞬間、最初は『捕れるわ』って思って後ろに走ったんです。でも打球がぐんぐん伸びていって……。『え、これどこまで行くの? 』って。 自分はセンターなので(右翼席に飛び込んだ)打球が横からだったから余計そう見えたのかも知れないんですけれど、滞空時間が長く感じました。走っていって、気が付いたら目の前にフェンスがありました。外野がもし150mくらいあれば、捕れていたんじゃないですかね(笑)」 3打席目のサードライナーも衝撃的だったという。 「あれは(三塁手の)笠松が捕らなかったらレフトフェンス直撃でしたよ。“カン! ”と打球音が鳴ったと同時に、笠松がもう飛んで(捕球して)いましたから。あの打球の勢いはグローブが破れるほどの衝撃だったんじゃないですかね。後で笠松に『どうやった? 』ってライナーのことを聞いたら、(目を大きくした表情で)『ヤバいです』って言っていました。試合後、あの打球が捕れていなかったら反撃されていたんじゃないかって、みんなで言い合っていましたね」 投手・大谷は1打席目から細やかに振り返られるほど、全て記憶に刻まれている。 「2打席目、自分はセンターフライだったんですけれど、自分ではしっかり捉えたつもりでした。でも打球が伸びなくてフライになりました。 後々、全員でその試合のビデオを見て気づいたのは、みんなストライクと思って思い切り振った球がほとんど高めのボール球だったんです。それくらいボールが伸びていたっていうことですよね。みんなで『どこ(のボール)振ってんねん』って突っ込むんですけれど、みんな“ココ”って真ん中のコースを指すんです。『来た』と思って振っても、結果的にボール球でした」
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