ウーバーイーツのバイク配達員が嘆く、ゲリラ豪雨でのツラすぎる配達【チャリンコ爆走配達日誌】
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第64回 ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります! * * * この連載のイラストを担当する土屋俊明さんは、本職が終わった後の平日夜や土休日に原付を使ってウーバーイーツ配達をしているダブルワーカーです。 今回は土屋さんが経験した、ゲリラ豪雨の中での配達の話を紹介します。 私のような自転車配達員にとって、まだ暑さが残るこの季節のゲリラ豪雨は大敵です。雨が降ってもなお25度以上の気温の中、防水効果抜群の雨具を着用してペダルを漕ぎ続けるというのは地獄のような作業です。 その上、自転車用のヘルメットは上部に穴が空いているのでメットを被っても髪がびしょ濡れに、さらにマスクも雨でビシャビシャになり呼吸することすら大変です。というわけで、自転車の私はゲリラ豪雨の間は配達をしていません。 ですが、原付の場合はフルフェイスを着用することで髪の毛やマスクの濡れを防ぐことができます。なので土屋さんはゲリラ豪雨でも中止することなく配達を続けています。 ゲリラ豪雨のような天候の場合、鉄道の線路のアンダーパスなど、水が溜まって通行できなくなる箇所が出たり、商品の受け取りで店に入る際や注文された方に商品を受け渡す際、相手が濡れないよう雨具を軽くタオルで拭いたりと、普段より気を遣うことは増えるとのことですが、思ったほど大きな負担にはならないそうです。 そんな気遣いを大きな手間と感じさせない大きな要因が、高額な配達料。需要と供給のバランスによって配達料は計算されるため、雨の日に提示される金額は普段の倍以上。さらに雨の日になると現れる、クエストと呼ばれる1配達あたり100円から150円のボーナスが加算されるため、配達によっては普段の4、5倍ほどもらえることも。 しかも大雨の中、配達先まで徐行しながら時間をかけて向かっても「時間がかかりすぎ!」という理由でBAD評価がつくこともほぼなく、チップをもらえることも多いので、ゲリラ豪雨の中の配達は「正直ありがたかった」そうです。 ところが、先日この連載で紹介したアルゴリズムの変更で状況が大きく変化。需要と供給に関係なく1件320円の依頼が大量にでる中、たまーに超高額の依頼が出るシステムに変わったため、どんなに強い雨が降ろうと320円の依頼が出まくるという事態に。さらに雨が降った時に出ていたクエストも出なくなったそうです。中にはものすごい雨の中4、5kmの距離を運んでも320円しかもらえない依頼もあるそうです。 とんでもない勢いの雨が降っていると注文の依頼は増えるので、スマホには次から次へと依頼が届くそうですが、ゲリラ豪雨の時は周囲に注意して徐行しながらの配達なので時間がかかります。晴れの日であれば20分ほどで終えられる4、5kmの配達も30分以上かかってしまいます。 東京都の最低賃金は1113円。そんな配達を320円で引き受けるのであればスキマバイトアプリで仕事をした方が得です。というわけで、現在はゲリラ豪雨の時は積極的に配達をしようとは思わないとのことです。 最近、ウーバーイーツで注文をしても商品がなかなか届かないとか、一度マッチングしても配達員がキャンセルするといったことが注文者の間で話題となっていますが、その原因は先日行なわれたアルゴリズムの変更の影響が大きいのかもしれません。 文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明