中日・田島は開幕27試合連続無失点の日本新記録をいかに成し遂げたか
中日の田島慎二投手(26)が21日、ナゴヤドームで行われた巨人戦で、開幕から27試合連続無失点でプロ野球新記録を樹立した。前日の巨人戦で、2012年にソフトバンク時代に岡島秀樹が作った26試合無失点記録に並んでいたが、連投で、しかも福谷浩司(25)の不振で、セットアッパーからストッパーへの格上げ配置転換となったばかりの試合で新記録を作った。 田島は6-4で迎えた9回に登場。立岡を三ゴロ、大田を空振り三振、代打の亀井を140キロの動く球で一ゴロに打ち取ると、右手で激しくガッツポーズを作った。 「久しぶりの9回で、本当に今日は緊張しました。(先発の)ジョーダンがいい投球をして、野手の方もたくさん点を取ってくれて、みんなで勝った1勝。新記録? うれしいです」 ここまでの成績は、27試合、25回3分の2を投げて、2勝1S13ホールド、防御率はもちろん0.00。田島が開幕からの連続無失点の日本新記録を更新できた理由は、どこにあるのだろう。 解説者の池田親興さんは「ボールがよく動き、制球力とウイニングショットがある」と分析している。 「この日の試合は、中継ぎとはプレッシャーがまったく違う抑えを任せられた。記録更新にプラスして、そういう厳しい状況を乗り越えたことの意義は大きいし、また自信を深めたのではないか。 昨年まで中日のコーチだった達川光男さんに聞いたところによると、元々、入団当事は上から投げていたが、ボールがひっかかり制球が安定しないということで、森コーチのアドバイスで、腕の位置を横にしたことで制球力がアップしたという。おそらく下半身と上半身の連動が合致して、最も腕がふれる角度、位置というのをみつけたのだろう。 ボールが打者の手元でよく動き、ウイニングショットのスプリットも、非常にコントロールされているのでバッターが手を出すし安定感がある。田島にはコントロールが悪いイメージがあったが、しっかりとコンディションも維持して、課題を払拭した。そういう進化が27試合連続無失点を生み出したのではないか」 田島は昨シーズンから、スリークォーター気味だった腕の位置をさらに横にして、ほとんどサイドになったが、森繁和ヘッドのアドバイスだったという。メカニックが安定して、リリース位置が打者に近くになり、制球が安定、ボールにもキレが出始めた。 田島自身は、「無失点記録の原因はわかりませんが、考えて投げています。一人ひとりと、しっかりと勝負しているのがいいのかもしれない」と説明している。 打線の前後や相性、試合展開をみながら、勝負の肝を見極めている。この27試合中、某選手が四球を選びガッツポーズをしたシーンがあったが、田島は「勝負していないのになあ」と、冷静に見ていたという。 局面によれば歩かせることも辞さない。この日のゲームも「1点はやってもいい」という心構えでマウンドに上がったという。経験を積み、1イニングをマネジメントできるようになってきたのも、連続無失点記録の背景にあるのだろう。また勝ち負けを背負うストッパーでなく、セットアッパーの位置であったこともプラスに働いたのかもしれない。