【こんな人】現役引退の西武増田達至は丁寧で動じない人 打たれて負けて帰宅すると長男は…
<こんな人> 西武は17日、増田達至投手(36)が今季限りで現役引退すると発表した。 【写真】2012年、婚約当時の増田達至と妻の2ショット クローザーとして通算194セーブを挙げた。31勝を挙げ、40敗でもあった。23年春、初めて取材したのは打たれて負けた日。「自分の責任です。本当に申し訳ない気持ちです」と神妙に絞り出した。 後日、長い通路ですれ違った。「先日はなんか、すみません」と切り出すと「大丈夫ですよ。ああいうのも慣れてるので」とほほ笑みで返してくれた。 「丁寧に投げすぎてるんじゃないかと最近は言われてます。大胆さがなくなってきてるのかなと。四球が少ない分、打者心理的にも狙われやすかったり、作戦を立てやすかったりもあるかもしれないですし」 チームの勝敗を左右するポジション。尋常でないプレッシャーの仕事なのに、丁寧に答えてくれる誠実な人だった。 淡路島で育った。「阪神の近本君、村上君、オリックスの村西君。最近、淡路島出身の選手が増えてきましたね。僕以外、みんな体が強いですね」と笑う。島の外に出ることは「全然なかったですよ」という少年時代。海と山に囲まれて、強い体を手に入れた。 ぶれない心も。増田を特に慕う平井克典投手(32)が言う。「増田さん、ほんとすごいっす。抑えても打たれても、次の日になったらいつも同じ」。 それでも増田本人は「僕、ハート強くないっすよ」と笑う。「帰って1人になった時に『しんどいなー…』ってつぶやいたりはしますけど」 家に帰れば、家族も打たれたことを知っている。でも笑顔、笑顔。 「長男は『パパ、今日、打たれたね』とか普通の顔で言ってきますし。まぁ、そういう家族にも救われているのは大きいですよ。だから『また頑張ろう』って切り替えられるのかもしれませんね」 9月28日、最後もいつもと同じ顔で、野球人生の9回裏に臨む。【23年西武担当=金子真仁】