これで日本を上回る? 実はボロボロ・ドイツ経済、いつまでも期待先行のインド経済
ユーロ内のドイツ独り勝ちの構造
さらに、ドイツの輸出はユーロ圏内において「為替調整」が行われないことにサポートされてきた。例えば、ドル円相場は両国の貿易状況(輸出超過か輸入超過かなど)に大きく左右される。その結果、例えば、円高になれば「実質値上げ」となり、〈日本からの)輸出量が減少するわけだ。 ところが、同じユーロを使う国々の間では為替調整が行われないから、ドイツの独り勝ちが続く。だが、その結果貿易相手国が疲弊するため、(EUの主要国である)ドイツが結局それらの国々の支援を行わなければならないということになる。 その上、メルケル前首相の時代から共産主義中国との蜜月が続いていたため「(中国の)失われる50年」の影響を大きく受けるのだ。 その結果、昨年9月11日公開「ドイツを見よ! EV化の惨めな結末~フォルクスワーゲン減産、結局、脱炭素は『三流国』への道?」のように、「三流国」への道を歩んでいるわけである。
永遠に成長が「期待」されるインド
インドも永遠に「成長が期待される国」で終わる可能性が高い。 まず大きな問題は、公式には否定されているが、根強いカースト制度だ。新業種で概ねカーストの外にあるIT産業では問題ないが、今後の成長のけん引役になるべき製造業では大きな障害となっており、スズキのインド工場での暴動もカースト制度が原因とされる。 また、インドの公用語は、ヒンディー語(連邦公用語)と英語(準公用語)の二つだが、州レベルの公用語として認められている言語が21もある。さらに、方言まで含めた言語の数は数百とも数千とも言われる。個性は大事だが、「国家としての統一性」には難がある。 さらに、インドのヒンズー教徒の割合は8割程度であり、残りの多く(約14%)をイスラムが占めている。絶対数で言えば2億人近くになり、両者の深刻な対立を考えると大きな波乱要因だ。 このように「世界を知れば」日本の素晴らしさがよくわかる。
大原 浩(国際投資アナリスト)