これで日本を上回る? 実はボロボロ・ドイツ経済、いつまでも期待先行のインド経済
---------- 「GDPでドイツに抜かれ、インドが抜くかもしれないといわれるが、気にする必要はない」で見てきたように、日本は悲観するような内容ではない。では、「日本を抜く」ドイツ、インドの中身はどの程度のものなのだろうか。 ---------- 【写真】GDPでドイツに抜かれ、インドが抜くかもしれないが、気にする必要はない
「日本が駄目」な方が都合が良い人々
まず、意図的ではない「日本ダメ論」を展開する人々の多くは、「世界を知らない『井の中の蛙』」である。どのような素晴らしい国でも、重箱の隅をつつくように探し回れば、欠点はいくらでも見つかる。例えば、歴史上の偉人とされる人々の欠点を探すことは簡単だ。 世界の状況を知らない視野が狭い人々は、「完璧な状態」と比較して「日本ダメ論」を展開するが、そのような基準で考えれば、世界中のほとんどの国々が、(日本よりも)「もっとダメ」である。 また、意図的に日本ダメ論を展開する人々もいる。そのような人々は「自分の人生が上手くいかないのは『日本が駄目』だから」と主張しているのだ。つまり、「自分の人生が最悪なのは自分の責任では無い」ということだから、日本が素晴らしい国であると大変困る。自分の最悪な人生の責任が(日本という国ではなく)自分自身にあることが明白になってしまうからだ。 そのような人々には、(彼らが駄目だと否定する)日本をさっさと脱出して、「素晴らしい海外の国々」に移住することをお勧めする。
実はボロボロのドイツ経済
例えば、日本の今年3月の失業率は2.6%である。ほぼ完全雇用と言える状態だ。 それに対して、米国の4月の失業率は3.9%、ドイツは同5.9%、フランスは1~3月期平均で7.5%である。 また、欧州のような階級制度や米国のような極端な貧富の差も無く「一般国民」が暮らしやすい国である。 さらには、前述したように、日経平均が15年で5~6倍にも上昇している。 それに対して、ドイツは2022年1月6日公開「ドイツは3度目の『敗戦』? メルケル16年の莫大な負の遺産」を抱えている。 2020年9月21日公開「メルケル独裁16年間のつけ、中国がこけたらドイツもこけるのか?」、2020年5月25日公開「人類の敵・中国を大躍進させたメルケル首相『16年間の独裁』」で述べた「メルケルの16年間の独裁」によって社会・経済の基本構造がガタガタになったのだ。 そこにやってきたのが、2022年10月8日公開「ノルドストリーム・パイプラインを破壊したのは、本当にロシアなのか?」を始めとする「ロシアからの安いエネルギー供給の途絶」である。 製造業や市民生活は大きな打撃を受けたが、それに追い打ちをかけたのが「イデオロギー」による原発全面稼働停止だ。 また、1990年の東西ドイツ再統一も34年が経過したにも関わらず、厳然とした東西格差が残る状況で、ソ連時代を懐かしむ旧東ドイツ市民が少なくないとも言われる。