「シャネル」がお手本 2024-25年秋冬ファッションはベルトでウエストマークが旬
■すべては「シャネル」から始まった 110年超の歴史
創業者のガブリエル（愛称ココ）・シャネルが1910年に帽子店を開いたことに始まる「シャネル」。 まもなく115年という歴史あるブランドは、今なお別格の存在感を保ち続けています。 特別なイメージの源泉は、ファッションを哲学的な言葉で語ったココの気高い人物像でしょう。ファッション分野で最も早くに、世界的な成功を収めた女性ビジネスリーダーでもありました。 黒いワンピースの原点とされるリトルブラックドレスの発明をはじめ、ツイードやジャージー素材の採用、キルティングバッグの考案など、ココの偉業は数え切れないほどです。 今では当たり前になっている「黒を着る」という行為も彼女が広めたといわれます。 動きやすい服を通じて、「女性の解放」を後押しした功績はウーマンエンパワーメントの先例といえるでしょう。 没後にブランドを支えたデザイナーとしては、長くアーティスティック ディレクターを務めたカール・ラガーフェルド氏（2019年没）が特に有名です。アーカイブを尊重しつつ、モードに新しい地平を切り開き、圧倒的なブランド評価を確立していきました。 2024-25年秋冬コレクションを手掛けたアーティスティック ディレクターのヴィルジニー・ヴィアール氏は、長くラガーフェルド氏の右腕的存在だった人物です。 ココが最初のファッションブティックを構えたのは北フランスの海沿いのリゾート地、ドーヴィル。そのドーヴィルから着想を得てアーカイブを再解釈した、どこか懐かしげで伸びやかなムードの装いを提案しました。 ベルトには「縛る、束縛」といったイメージもありますが、巻き方の自由度が高い今のスタイリングは逆に自在の着こなしに誘います。 たった1本の「帯」や「コード」なのに、服から多彩な表情を引き出し、狙ったムードをまとわせるから、ベルト使いの引き出しを増やして損はありません。「シャネル」の貴重な提案に耳を傾けて、秋冬コーディネートのウエストゾーンに自分流の「筋」を通してみませんか。 文：宮田理江（ファッションジャーナリスト）
宮田理江
トレンド情報や着こなし解説、コレクションリポート、スタイリング指南をメディアや個人サイトで幅広く発信。異なるテイストのミックスコーディネートが得意。自らのテレビ通販ブランドを持つ。ディレクション業務、イベント登壇もこなす。毎日ファッション大賞選考委員。 ※この記事は「THE NIKKEI MAGAZINE」の記事を再構成して配信しています。
