＜関大・関学大＞9回から登板し好投した関大・金丸（撮影・大森　寛明）

　阪神は14日、新監督に球団本部付スペシャルアシスタント（SA）でOBの藤川球児氏（44）が就任することを発表した。近日中に就任会見を行う予定。第36代監督として球団創設90周年の節目でもある2025年にタクトを振る指揮官の“初仕事”になりそうなのが、24日のドラフト会議。球団内では最速154キロ左腕の関大・金丸夢斗（21）を1位指名する動きが加速しており、競合必至の“金の卵”をクジで引き当てる大役が巡ってきそうだ。 　幾度となく火の玉ストレートを投げ込んできた“黄金の右腕”にいきなりチームの未来が託されることになりそうだ。球団は来季監督に藤川氏の就任を発表。近日中にも就任会見が行われることも決まった。 　「藤川阪神」発進へ組閣などが急ピッチで進められる中、第36代監督としての“初仕事”にして大仕事になりそうなのが、24日に開催されるドラフト会議。これまで1位の上位候補には金丸に加えて明大・宗山塁内野手（21）、青学大・西川史礁（みしょう）外野手（21）が挙がっていたが、藤川氏の監督就任で「1位・金丸」への動きが加速する可能性が高まった。 　金丸にとって出身の神港橘高、関大の先輩である元阪急の山口高志氏は同大学のアドバイザリースタッフを務めている。阪神の投手コーチ時代には当時は現役選手だった藤川新監督も指導。新監督にとってはコーチと選手の師弟関係だ。投球フォームに関する山口氏の助言で潜在能力が一気に開花し、その後、NPB通算243セーブを挙げる伝説のクローザーまで上り詰めた。 　同じ“師匠”を持つ縁はもちろん、即戦力左腕はチームの補強ポイントにも合致。金丸はこの日、関西学生野球秋季リーグ3回戦の関学大戦で同点の9回から救援登板して2回無安打無失点2奪三振と好投した。リーグ最終登板の可能性もあった一戦を阪神は畑山俊二統括スカウトらを含む4人態勢で視察。この日、集結したNPB球団の中では最多の人数で最終チェックした。評価が揺らぐことはない。 　当然、逸材には他球団も熱視線を送っており、すでにヤクルト、巨人、中日、ソフトバンク、日本ハムが1位指名候補に挙げるなど複数球団による競合は避けられない情勢。そこで交渉権獲得のクジ引き役を任されるのが、藤川新監督に他ならない。近年では金本監督、矢野監督が就任直後のドラフト会議で抽選のクジ引き役を任されており、今年に関しても新監督に大役を託すことは決定的。“黄金の右腕”で次代のエース候補を引き当てることが期待される。 　今後のチーム構想にも大きく関わってくる金丸の指名。藤川新監督と“赤い糸”がつながっていれば、虎の未来はまぶしいほど明るくなる。 　◇金丸　夢斗（かねまる・ゆめと）2003年（平15）2月1日生まれ、兵庫県神戸市出身の21歳。広陵小1年から広陵少年野球部で野球を始めて投手や一塁手。広陵中では軟式野球部に所属した。神港橘では1年秋から背番号10でベンチ入りし、2年秋から背番号1。関大では1年秋にリーグ戦初登板。今年3月には欧州代表との強化試合で侍ジャパンのトップチームに初招集された。50メートル6秒5、遠投110メートル。1メートル77、77キロ。左投げ左打ち。 　≪この日の金丸≫関大は、関学大との3回戦で延長12回の末に5―5と決着をつけられず引き分けに終わった。金丸は同点の9回から登板。9回2死一塁から外角直球で見逃し三振を奪うなど2回無失点と好救援し、「（最初は）制球がバラついたけど、修正できるのが自分のいいところ」と冷静に対処した。負ければリーグ優勝の可能性が消滅する一戦で踏ん張り、勝ち点の行方は22日の4回戦に持ち越された。首位の関学大が京大との最終節で勝ち点を落とせば、逆転優勝の可能性が残るだけに「（4回戦が発生して）このチームと少しでも長くできることがうれしいです」と喜んだ。 　≪球児新監督X卒業≫藤川新監督が引退時に始め、フォロワー数22万人超を誇ったX（旧Twitter）の“卒業”を告知した。「私人として皆さまとSNSでつながれた時間はとても楽しい時間となりました」、「4年間ありがとうございました」などと記した。また、17日のCSファイナルS第2戦（巨人―DeNA）に予定していたNHKの解説も取りやめた。