生成AIも予見? 楳図かずおさんに聞いたAIの話 「人間が人間を作ろうとしているだけ」
ITmedia NEWS Weekly AccessTop10(11月9~15日) 【画像を見る】SF漫画「わたしは真悟」【全2枚】 1 「ポケポケ」のコイントス、本当に“確率は50%”か? 「カスミ」を100回使って検証してみた 2 「レールガン」研究の近況、装備庁が発表 “弾丸の安定した飛翔”に成功 電源の小型化も検討中 3 退職代行「モームリ」、従業員に退職代行を使われる 「非常にショック」と公式X 4 「イオンカード」の不正利用が急増した根本原因 なぜここまで返金対応が遅れているのか 5 これが闇バイト募集の手口──犯罪コミュニティーの“誘い方”、NTTコムが実際の文面付きで注意喚起 6 火山灰に埋もれた親子の遺体→実は他人同士だった 古代都市ポンペイの遺体をDNA解析 歴史の誤りが判明 7 「Salesforce」で障害発生 金曜夕方直撃で、ユーザーからは悲鳴【復旧済み】 8 Xに広がる“脱出論” 移住先として有力「Bluesky」「Misskey」「Threads」、いちユーザーから見た住み心地 9 落合陽一、神社を建てる その名も「計算機自然神社」 “ヌルの神様”と“オブジェクト指向菩薩”が鎮座 10 “熱力学第二法則の例外”発見か 熱が「冷たい→熱い」場所に流れる状況とは? 米研究者らが発表 ITmedia NEWSにおける1週間の記事アクセス数を集計し、上位10記事を紹介する「ITmedia NEWS Weekly Top10」。今回は11月9~15日までの7日間について集計し、まとめた。 ようやく秋らしくなってきた先週のアクセスランキングには、スマートフォンゲームからレールガン研究、退職代行、闇バイトまで、さまざまな話題が入った。 その前の先々週には、漫画家の楳図かずおさんの訃報が伝わった。88歳だった。 筆者は本誌のインタビューで一度だけ面識がある。2016年、東京・吉祥寺の「まことちゃんハウス」にお邪魔してインタビューに同席し、執筆を担当した。テーマはAIだ。(当時の記事:「人工知能? 人間が人間を作ろうとしているだけの話です」 楳図かずおさん) お会いする前は、ひょうきんなホラー漫画家というイメージだった楳図さん。実際にお話しして、冷静で哲学的な希代のクリエイターだと感じた。 伺ったのは、楳図さん(79)が1982~86年、「ビッグコミックスピリッツ」に連載したSF漫画「わたしは真悟」の世界と、現代のAIについてだ。 作中では、主人公の小学6年生・悟(さとる)とヒロインの真鈴(まりん)が、町工場の産業用ロボットにたくさん言葉を覚えさせる。するとある日、コンピュータが意思を持ち、世界中のコンピュータとつながる。やがて知能と感情を持ち、自らを「真悟」と名付け、学習・成長していく。 真悟がネットワークとつながって知識を得て、成長していくさまは生成AIのようだ。連載当時から、楳図さんはそうした技術を予見していたのだろうか。そう尋ねると「漫画の発想として描いただけ」とさらりと言う。 工場で働いていた真悟の父は、仕事がロボットに奪われ落ちぶれる。一方で真鈴の父はエリートで、英国でリッチな生活をする……など、これもAI時代を予見しているかのような内容だ。 いま、AIの普及で人間の仕事は実際に奪われており、格差拡大が助長されているとも言われている。今後、人間はどうなってしまうのか、不安になることもある。 楳図さんはAIの進化について「人間が人間を作ろうとしている」と喝破する。そして「人間は本能の底では、進化しようと一生懸命あがいている」と。 このインタビューは2016年。ChatGPTが世界を震わせる6年も前の内容だが、2024年の今でもじゅうぶんに示唆的だ。 楳図さんの肉体は空に飛んでいってしまったが、作品とメッセージは永遠だ。
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