アドビの天才たちが披露した9つの魔法。3Dと音も手軽に作れる未来はすぐそこ?
アドビは10月15日(現地時間)、アメリカ・マイアミビーチで開催中の「Adobe MAX 2024」の2日目で、開発中の技術のプレビューをする「Sneaks」(スニークス)を開催した。 【全画像をみる】アドビの天才たちが披露した9つの魔法。3Dと音も手軽に作れる未来はすぐそこ? Sneaksは、アドビの研究部門・Adobe Researchのデザイナー兼開発者が自らが取り組んでいる未公開技術をプレビューし、MAXに来た現地1万1000人、オンライン10万人の来場者(公称値)の反応を見るというもの。 いずれも製品化の明確な予定はないが、MAX 2024で発表された2Dデザイナーに親和性の高い3Dツール「Project Neo」はMAX 2023のSneaksで公表されたもので、実用化の可能性は少なくない。 MAX 2024 Sneaksで公開された技術デモから同社の少し先の未来を考えてみよう。
(1)2Dイラストを3D風に回転できる「Project Turntable」
会場のクリエイターたちの心を掴むプロジェクトは複数あったが、発表順としては「トリ」となる「Project Turntable」には驚嘆する声が多く上がっていた。 Project Turntableはイラスト制作ソフト「Illustrator」のプラグインのような形で動作。Illustrator上のパスで書かれた2Dのイラスト(デモでは冒険者やドラゴンなどのRPGのキャラクター)が、まるで3Dのオブジェクトのように回転させられていた。 当然、元が2Dイラストなので例えば背中や見えない腕などは「描かれていない」のだが、どうやらProject Turntableはイラストを元に簡単な3Dモデルを生成し、回転させているようだった。 利便性が高いのは、3D化して向きを変えた後は2Dイラストとして扱えるので、拡大縮小や色、形状の一部を変更するといった編集作業が容易な点だ。
(2)プロンプト作った3Dモデルから画像を制作する「Project Scenic」
3Dの生成という意味では、「Project Scenic」のアプローチも興味深い。 Project Scenicにはざっくりと2種類の生成AIが使われているようだった。 まずは3D。プロンプト(命令文)で指示をするだけでAIが3Dオブジェクトを生成していた。デモではシーンとして「a cozy campsite(居心地の良いキャンプ場)」と入力すると、テントや椅子などが出現した。 その後もプロンプトで3Dオブジェクトを追加したり、強調したいオブジェクトを指定したりし、最後に画角を設定する。 配置した3Dモデルと画角から画像を生成する際はFirefly Image Modelのようなものも使っているようで、設定した構図に合ったキャンプ場の画像が生成されていた。 3Dオブジェクトがプロンプトで手軽に増やせることや、構図を細かく指定できるため、操作するクリエイターの狙い通りの画像が作りやすい点が魅力だ。