5人の園児が負傷した〝園バス逆走事故〟園長が決断した、義務ではないシートベルトの設置 #令和の子
事故当時のドライブレコーダー映像
去年12月、広島県東広島市で発生した、子どもたちを乗せた送迎バスが中央分離帯を乗り越えて、約100mに渡って逆走するという衝撃的な事故…。反対車線を走行していた車4台に次々とぶつかり、園児5人を含む12人がけがをしました。 「ブレーキを踏まなかったと聞いていますので、何かしらコントロールを失っている状況だったのではと推測しています」。 事故を起こした認定こども園「さざなみの森」の松井雄一郎園長は当日の夜、記者会見で話しました。 事故から1カ月半、園児バス再開に向け見えてきた課題と子どもたちの安全対策を追いました。
■年末の衝撃的な事故
事故が起きたのは12月18日、午後2時半ごろでした。広島県東広島市の市道で認定こども園「さざなみの森」の送迎バスが中央分離帯を乗り越え、反対車線を走っていた車4台と次々と衝突したのです。 バスには、3歳から6歳までの園児5人を含む7人が乗っていました。園児5人は「軽傷」ではありますが、そのうち3歳の女の子1人が前歯を折って出血したといいます。園児たちの“心の傷”は、決して「軽傷」ではありません。 当時の状況が分かってきました。 園児バスは左カーブに差し掛かったもののそのまま直進し、中央分離帯を乗り越え反対車線へ。男性運転手(77)は目をつむっており、逆走中にブレーキがかかる様子はなかったそうです。 運転手が午前の勤務を終えた後に「きょうは風邪を引いたかもしれない、病院に行ってみようかな」というやり取りが委託先であったそうです。体調が万全でなかった可能性が出てきました。
■園児バス再開への課題
事故から1カ月が過ぎた1月26日、認定こども園「さざなみの森」では、東広島市内の新しい委託会社と園児バスの運転再開に向け、打ち合わせが行われていました。 松井園長「今回の事故の私たちの反省は、委託先様がしっかりやってくださっているから、そこに対して私たちがチェック機能を果たせなかったこと。そこについては反省を生かして、状況を一緒に共有させていただく」。 事故を起こした男性運転手は、当日体調不良であったこと、さらに糖尿病の持病があることなどを、こども園、そして委託会社にも報告していませんでした。 こうした背景を踏まえ、さざなみの森では、運転手の年齢を70歳未満とすること、委託先による健康管理を徹底し、その状況を園と共有できるような体制づくりを進めています。そして、車体にも大きな変更を検討しています。