5人の園児が負傷した〝園バス逆走事故〟園長が決断した、義務ではないシートベルトの設置 #令和の子
■義務ではないシートベルト着用を検討
園が決断した大きな変更、それはシートベルトの導入です。 実は、国が定める「道路運送車両の保安基準」では、「子どもが自力で外せないため車両火災などの緊急時に脱出できなくなる」「様々なこどもの体格に合わせた一定の座席ベルトを用意できない」などの理由から、園児バスにシートベルトの導入が義務付けられていません。 しかし、全国的に子どもの乗ったバスの事故は相次いでいます。 1月17日には大分県で、園児バスにクレーン車が追突し、園児を含む7人がけがをしました。 国土交通省が発表したデータによると、2003年から2008年の6年間、園児バスに乗車中の交通事故でけがをした子どもは569人。幸い死者はいませんでしたが、毎年100人近くが事故に巻き込まれていた計算です。(99%は軽傷) 松井園長「今回のけがは、前のいすの座面や背面にぶつかって顔をけがする、衝撃を受けるというのがほとんど。統計的には軽傷と扱われますが、やはり1人1人の受けた衝撃や痛み、その後のご家族の不安などを考えると、やはり軽傷という表現では済まされない。シートベルトの導入は、頻度の高い可能性のある事故への対応を優先しての判断です」。
■シートベルトを導入している園では
いち早く、シートベルトを取り入れた園が広島県内にありました。 呉市にある仁方こども園では2022年9月、園児バスにシートベルトを導入しました。 「急ブレーキをかけた時、子どもが飛びそうになった。これはシートベルトをつけるしかないと決断しました」と、仁方こども園の花田園長は話します。 仁方こども園では、体をがっちりと固定できるリュック型のシートベルトが導入されていますが、ある発見もあったそうです。 花田園長「実際は、私が外すことはないんです。子どもたちは分かっていて、自分たちで外して出てきますので、火災とかいろいろあった時は、自分たちで逃げることはできると思っております」。 かわいい子どもたちを預ける保護者からも評判です。 保護者「安心ですよね。家の車だったらちゃんとシートベルトをして、チャイルドシートをつけさせているけど、園児バスではどうかなと思っていた。導入してもらうことで、行くのに安心です」。