自治体や政府は打つ手なし?企業は減資で税負担軽減、問われる外形標準課税
行政が企業の経営状態を把握することは難しい
このように「外形標準課税」では、都が国の税制をリードする場面もありましたが、税制の大枠は国が決めています。都だけで、減資による税負担軽減を対処することは難しい状況です。 「減資の問題が深刻化するようなことがあったら、都が政府に対応を求めるよう働きかける可能性もあります。しかし、現在は庁内や都議会でも減資で税負担軽減を図ろうとする企業を問題視する声は出ていません」(同)。 先述したように、経営状態が悪化したことを理由に減資をする企業もあります。企業の経営状態を行政が判断するのは、きわめて困難です。そのため、都だけではなく政府も動きが取りづらく、打つ手がありません。 資本金1億円以下に減資をする企業が出てきたのは、法人税率が引き下げられる一方で売り上げに関係なく課税される外形標準課税が拡大されたことが背景にあるようです。今後も法人税減税・外形標準課税強化の潮流がつづくと見られることから、減資で税負担軽減を検討する企業は増えそうな気配です。 企業の減資による税負担軽減策は、地方自治体の財政を直撃する問題です。政府には早急な対応が求められます。 小川裕夫=フリーランスライター