「自分の文章を自分で読むのはすごく恥ずかしかった」著者・上白石萌音本人が朗読。話題を呼んだ初のエッセイ集『いろいろ』がオーディオブックで登場《インタビュー》
――オーディオブックには、上白石さんが熱中して読んだという、作家としめきりについて書かれた『〆切本』(左右社)という一冊から発想を広げ、ご自身の内側に入っていく書き下ろしエッセイ「〆切る」も特典音声として付いてきます。 上白石 この一編は、一番上手に書けたエッセイだと思っていて、自分でもとても気に入っているんです。さらにもうひとつ、執筆のリアルな裏側がわかる「忘れられない締め切りよもやま話」も収められています。これは録音ブースの外でちょっと気を抜かれていた担当編集者Sさんにお声をかけ、急遽、対談という運びになったもの(笑)。この本は企画や執筆を導いてくださったSさんとの共著みたいなところもあるので、立役者として出ていただかないと始まらないなと思いまして。Sさんはとてもいい声をお持ちのオーディオブック向きの方。二人のおしゃべりもぜひ楽しんでいただきたいです。 ――楽しみがいっぱい詰まっていますね! 最後に上白石さんおすすめのオーディオブック版とっておきの楽しみ方を教えてください。 上白石 オーディオブックは、冒頭の「はじめに」からページどおりの順番で収録していったのですが、朗読を始めた頃と終わる頃の印象がちょっと違うのではないかと思うんです。というのも、読み始めの頃は本当に緊張してしまい、探り探りで、文章と少し距離がある感じだったのですが、読んでいくうちに自分の本を自分で読むということに慣れていったんですね。その経過を楽しめるのはオーディオブックならでは。「あ、なんかこいつ、慣れてきたな」みたいなことが(笑)、時間の経過とともにわかってくるかもしれませんので、そこもひとつ楽しみに聴いていただけたらと思います。