築地再開発検討会議第2回(全文1)年内には委託業者が決定する予定
日本における食や食文化に関する気になるポイント10点
大崎:全国調理師養成施設教会の大崎と申します。では私のほうから、この築地の再開発についてということで、食文化を中心テーマとしたプレゼンテーションをさせていただきます。まず初めに日本における食や食文化に関する気になるポイントをまとめてみました。このように10点ございます。1つ目の和食の無形文化遺産登録と保護、継承の推進。2013年に日本人の伝統的な、食文化としての和食がユネスコの無形文化遺産に登録されました。これをきっかけに和食を見直し、保護、推奨する動きが高まっている点でございます。 2つ目は食育普及推進活動の広がりということで、2005年、食育基本法の制定以降、食育の普及、啓発が国民運動的に推進されておりますが、この和食のユネスコ登録の影響もあって、さらなる広がりを見せております。で、3つ目が食を通じた地域活性化の動き。これは行政主導型のものもありましたけれども、B1グランプリのような日本最大級のまちおこしのイベントが先導役になって、この10年で、多くの地域で食を通じた地域活性化が進んでいるということです。 そして4つ目、訪日外国人旅行者の日本食への期待の高さということですけれども、訪日外国人旅行者の増大につきましては第1回の会議でも示されておりましたけれども、その期待の目的というのが日本食を食べることというところに調査結果が出ているということでございます。 そして5つ目。海外の日本食レストランの増大ということですが、2013年においては約5万5000店ということでしたが、今年の10月の時点では、すでに11万8000店と急増しておりまして、特にアジア、中でも中国では4万店を超える爆発的な状況というところでございます。そして6つ目。調理師学校留学生の増加傾向ということですけれども、全国の調理師学校における留学生の入学者総数は、2013年度は159人だったのが、今年度は424ということで、数字は小さいんですけれども、4年で約2.7倍。 そして7つ目、低迷する日本人の魚食、米食消費量ですけれども、日本人の魚と肉の摂取量が逆転したのが2006年ということで、以来、ずっと魚食は低迷しております。一方、米食のほうも2011年の家計調査で、一般家計のパン代が、米代を上回るという結果となっておりまして、その後も消費量は減少しているということです。 そして8つ目、先進国中最低水準の食糧自給率ということで、ここ20年ぐらいはずっと、日本の食糧自給率は40%前後と低迷しておりまして、先進国中最低水準ということで、これは魚食離れ、米食離れとも連動しております。 そして9つ目は、深刻化する食品ロスの問題。まだ食べられるのに廃棄される食品、食品ロスは世界で年間13億トン、日本は年間約621万トンということで、この数字は国連による、世界の食糧援助量の約2倍という大変深刻な状況であるということです。 そして最後の10番目、文化芸術基本法に、食文化が明記ということですけれども、今年の6月に改正された文化芸術基本法の中に、食文化が生活文化の1つとして明記されました。これでようやく食文化が市民権を得て、社会的に認知されたということで、食文化の発展、振興させる環境が整ったということができると思います。 以上のような主なポイント、10点を挙げましたけれども、これらはそれぞれ関連性があることから、各ポイントを複合的に捉えた上で、築地再開発の方向性を考えてみました。それがこちらの、これからの築地の役割と再開発の視点でございます。メインコンセプトが、和食を中心とした日本の食文化発信拠点。これからの築地の、これが役割の1つではないかというふうに考えます。そして再開発の視点として、日本の食文化の振興。和食文化の魅力発信。築地の歴史文化の体現。外国人の日本食調理人の育成。魚食、米食の復興。食品ロスの削減の6つを挙げました。なお、再開発に向けての留意点を、ここにこのように記させていただいております。