都内で進む校庭「芝生化」 始まりはヒートアイランド対策
小中学校の2学期も始まり、秋らしくなってきました。運動するにはうってつけの気候になり、各地の学校では「体育の日」前後に運動会が実施されています。東京五輪・パラリンピックを5年後に控え、体育に力を入れる小中学校は少なくありません。そのため体育施設を充実させる学校もあり、自治体が率先してハードインフラを整備することもあります。昨今、特に東京都は校庭の芝生化に力を入れています。 7割の小中校で未設置 教室のエアコン設置が進まないのはなぜ?
当初は公園などの緑化計画の一つ
「東京都が小中学校の校庭を芝生化することに取り組み始めたのは2007(平成19)年からです。前年度に東京都環境局がヒートアイランド対策として計画を策定しました。そのため、平成24年度までは環境局が校庭の芝生化を進めていました」(東京都教育庁教育支援部義務教育課) 都環境局がヒートアイランド対策として始めた校庭の芝生化は「緑の東京10年プロジェクト」の一環でした。これは、特に学校に特化した事業ではありません。あくまで都市公園や海上公園の緑化を推進するにあたって策定された計画です。その緑化計画の一つに校庭の芝生化が含まれているに過ぎませんでした。 ところが、校庭を芝生化したことで体育の授業のみの利用から、理科の実験や総合学習などといった具合に利用が拡大していきました。そして、芝生化された校庭は地域住民との触れ合いの場として機能することにもつながったのです。 「芝生の校庭は、芝刈りや水やりなど定期的に管理する必要があります。教員や生徒だけでは、とても手が回りません。そこで、地域住民の方々にも協力を仰ぎ、学校ごとに校庭の芝生を管理する体制が整えられました。一時期、学校は関係者以外の立ち入りを厳重にして、閉鎖空間になっていました。最近はセキュリティを強化しつつ、夏祭りや映画上映会などを開催するようになっています。学校は地域コミュニティを担う施設であるとの観点から、地域住民に開放する方針になりつつあります。校庭の芝生化は地域住民と学校を結びつけるツールでもあるのです」(同) 校庭を芝生化するかどうかは、市区町村の判断です。そのため、校庭芝生化は自治体によって進捗具合には差があります。芝生の校庭は土のグラウンドに比べて土ぼこりが舞わないメリットもあり、特に都心部の23区では積極的に検討されるようになっているようです。