「炭水化物は太る?」「小麦粉は避けるべき?」は本当なの?【食と健康】に関する6つの迷信を栄養士が暴く
グルテンは避けたほうがいい?
小麦粉などに含まれる“グルテン”は、本当に体に悪いのか。「簡潔に述べると、ほとんどの人にとっては『ノー』です」と説明するのは、腸の健康を専門とする栄養士のクラリッサ・レンハーさん。 「グルテンを摂取すると体内の免疫系が自らを攻撃する、自己免疫疾患のセリアック病を患う人は、グルテンを厳格に避ける必要があります。また、(小麦製品を食べると気分が悪くなったり肌荒れしたりする)非セリアック・グルテン過敏症の人は、グルテンを減らしたり除くことで体調が改善することがあります。加えて、小麦アレルギーの人は、グルテンを含む多くの食品を避けなければなりません」 しかし、それ以外の人にとってグルテンの摂取は問題ない、とレンハーさん。「全粒粉やスペルト小麦、ライ麦製品などはグルテンを多く含むいっぽうで、体に嬉しい必須ビタミンや食物繊維も豊富です。ある研究では、グルテンフリーの食事は腸内の善玉菌(乳酸菌やビフィズス菌)の数を減少させるという報告があります。これは、食物繊維など、善玉菌の増殖をサポートするプレバイオティクスが、小麦に含まれていることに関係しています」 「また、グルテンフリーの加工食品は、砂糖や防腐剤、乳化剤、質の悪い脂質を添加することで味や食感を補っている場合も多く、健康志向の人にとって、食事選択の意図を損なう可能性があります」
加工食品はすべて体に悪いの?
「超加工食品の健康への影響については近年精査されていますが、大量摂取による疾病リスク増加との関連性については、依然として不明なままです」と話すのは、『Unprocess Your Life: Break Free from Ultra-Processed Foods for Good』の著者である栄養士のロブ・ホブソンさん。 食品を加工の性質や程度、目的によって分類する「NOVA分類」についても、あくまで大まかな指標であるとし、「(この分類は)全粒粉のパンやシリアル、ヨーグルト、プラントベースの食品を健康推奨食品に、甘いスイーツや炭酸飲料などを栄養価の低い食品にグループ分けしています」と説明。 「しかし、超加工食品の栄養価には幅があり、糖分や飽和脂肪酸、ナトリウムを多く含み、食物繊維、ビタミン、ミネラルが欠けているものもあります。いっぽうで、全粒穀物やナッツ類、シード類、豆類などを含む栄養価が高いものでも、人工添加物が1種類以上入っているために超加工食品に分類されているものもあります」 「飽和脂肪酸、塩分、糖分を多く含む食品は、肥満や心臓病、2型糖尿病、その他の慢性疾患などの健康への悪影響につながります。しかし、人工添加物(乳化剤など)が健康にどの程度影響するかについてはさらなる研究が必要であり、条件や添加物によって明確に定義されるにはいたっていません。この不確実性により、避けなくてもよい添加物まですべて避けるという選択をする人もいますが、食品を悪者にしないよう、注意が必要です」 まだ結論は見えていないが、加工されていない食品を中心とした食生活がより健康的であることは明らか、としたうえで、ホブソンさんは次のように補足。「現実的なアプローチとして、ゼロから調理する必要のない超加工食品を選ぶ必要がある場合は、可能な限り健康的な選択をするために、ラベルをよく確認しましょう」