劇中車の主役はランボルギーニ・カウンタック! エンタメ要素満載のカーアクション映画「キャノンボール」が類まれな名作である理由
映画のなかで55マイルの速度表示に缶スプレーで「×印」を書いた方がジル役のタラ・バックマンさん(画像左)、セクシーなスパッツのジッパーを下ろして免許証を保安官に差し出すのがマーシー役のエイドリアン・バーボーさん(画像右)です。「いくつの模型(カウンタック)にサインしたかわからないわ」と当時のエピソードを語るお二人。
映画「キャノンボール」は豪華なキャストとエンタメ要素が注目されがちですが、じつは冒頭3分間のシーンに名作となる要素、世相を映す文化的意味合いがあります。
1970年代に世界を襲ったオイルショック。それを受け米国ではハイウェイの上限速度を一気に70マイルから55マイルに引き下げます。多くの国民、なかでもカーガイたちはとくにFから始まる4文字を連呼。日本とは違い従順な羊の群れでいることを嫌います。
以降、邦題に統一しますが、この手のアンリーガルな大陸横断レース映画はいくつかあり、1977年1月日本公開の「激走!5000キロ」(米1976年8月)、同年12月の「爆走!キャノンボール」(米1976年6月)の2本が「キャノンボール」公開前の作品です。
誰もが認めるキャノンボールシリーズはその後、1983年12月公開の「キャノンボール2」へと続きます。アメリカでは1984年7月公開なので日本での人気がうかがえますね。じつはこの後ろに1989年6月公開の「キャノンボール3 美しき挑戦者たち」(米題:Speed Zone)があるのですが、制作プロダクションの変更などもあり、ちょっとトーンが変わります。
登場する劇中車の主役はやはりランボルギーニ・カウンタックです。その流れはLP400S、LP500S、LP5000QVと時代とともに変わりますが、いずれの3作品もオープニングはカウンタックとパトカーのチェイスシーンから始まります。
話題を戻すと、これら映画の起点は1971年に実際に行なわれた大陸横断単独レースにあります。挑戦したのは元自動車雑誌記者のブロック・イエーガーさん。ステアリングを握ったのは自身を含め総勢4名。この記録を自動車雑誌に掲載したところとんでもなくバズり参加希望者が殺到。このレースは1979年の第4回大会で終焉するのですが、実話だってところがミソなんです。