技能の祭典 栃木県唯一の高校生代表 入賞で恩返し
若者がものづくりの技術、日本一を競う技能五輪全国大会が22日、愛知県で開幕します。栃木県で唯一、高校生で代表に選ばれた選手に大舞台にかける思いを聞きました。 小山市にある小山北桜高校の実習棟です。黙々とカンナで木材を削っているのは建築システム科3年の貝塚陸斗さん。貝塚さんは、今年1月に行われた技能五輪県予選の「建築大工」の種目に社会人に交じって出場し、一枠しかない県代表の座を高校生ながら獲得しました。 技能五輪全国大会は、原則23歳以下の若手職人たちが、その技術で日本一を競う祭典で栃木県でも7年前に開催されました。今年は22日から愛知県で開かれます。栃木県からは14種目36人の参加で、高校生は貝塚さんただ一人。先日、福田富一知事に活躍を誓いました。 貝塚さんが出場する「建築大工」は、図面をもとにたくさんの部材をカンナやノミで加工し、木造屋根の一部を寸法通りに、いかに正確に組み上げられるかを採点します。削り出した木材の角度や木材同士がつながる場所の精度などをまさにコンマ何ミリの世界で競い、さらに競技時間が2日間で12時間と最も長く気力と体力も必要とします。 競技の課題が大会から公表されたのは今年8月。素人が見ると、頭が混乱するような複雑な図面から作品が生み出されます。貝塚さんは学校がある時は4時間から5時間、休みの日は本番を想定して12時間にも及ぶ練習を重ねました。 貝塚さん「入賞して恩返ししたい。その思い出頑張っている。」 得意なノコギリとカンナの技術をさらに磨き、自宅に帰ってからもテレビ会議システムを使って実習教諭の湯本実成さんからアドバイスをもらう熱の入れようで、これまでに完成させた課題は15個にもなります。 湯本さん「精度がかなり上がった。0.1ミリの狂いもなく仕上がるようになった。」 作品は、下から見てみるとより複雑さが際立ち、造形の美しさを感じます。貝塚さんは幼少期に日光東照宮や地元の神社などで見かける宮大工の仕事に惹かれ、建築の道を志しました。山車屋台の復元活動にも参加し伝統的な技術を習得して技量の幅を広げてきました。 教諭やクラスメートからの期待は大きく、高校3年間の集大成にしたいとこの種目では栃木県では初となる高校生での入賞を目指しています。 貝塚さん「皆の期待にこたえられるよう、金賞目指して頑張りたい。」
とちぎテレビ