ECBは追加利下げを急いではならない-シュナーベル理事
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル理事は30日、経済を刺激するために利下げを急ぎ、中立金利を下回る水準まで金利を引き下げるべきではないと述べた。
シュナーベル氏はフランクフルトでの講演で、インフレ抑制は依然として順調に推移しているが、「インフレとの闘いはまだ終わっていない。景気抑制的な政策を徐々に解除するアプローチは依然として適切だ」と強調した。
ECBは10月中旬に今年3度目となる利下げを行ったものの、その後の対応について政策当局者の口は堅い。シュナーベル氏の発言は、今後の金利動向に関する当局者の議論に新たな材料を加えるものだ。
シュナーベル氏は、2025年の成長予測が「潜在成長率に近い」場合、「中立金利を下回る必要はない」と述べた。また、「われわれは中立金利の領域に近づきつつある」とした上で、ECBが「見通しとデータに基づき、政策がなおどの程度景気抑制的であるかを評価するには、より時間が必要だ」と付け加えた。
欧州連合(EU)統計局が30日に発表したユーロ圏域内総生産(GDP)速報値は、前期比0.4%増と市場予想を上回った。シュナーベル氏は消費主導の経済回復への予想を再確認し、このデータが支出の「転換点」となる可能性があると述べた。
来週の米大統領選挙については、「何が起こるかによって、金融政策にとっても非常に重要な意味を持つ可能性がある」と指摘した。シュナーベル氏は、ECBはシナリオ分析を行っているが、結果によって差し迫った行動をとる必要はないとの見方を示した。
原題:ECB Mustn’t Rush Further Interest-Rate Cuts, Schnabel Says(抜粋)
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Mark Schroers, Alexander Weber