DAOの第一人者で弁護士の29歳が四国で「革命」──DAOで日本再生はリアルか、幻想か?
PizzaDAOはなぜ世界で広がった
DAOを軸に世界的にコミュニティを広げた例としては、「ピザは無料であるべきだ」をスローガンに活動しているPizzaDAO(ピザダオ)がある。世界各地でピザパーティを開いたり、ブロックチェーンをテーマにする国際会議などでパーティを主催しながら、多くの人をつなげている。また、社会的な影響を与える組織を支援する活動も同時に進めている。 PizzaDAOのメンバーで、東京・原宿で5月に開かれたピザパーティの運営を支援したのがHEART CATCHの西村真里子さんだ。武蔵野美術大学で客員教授を務めながら、スタートアップの支援活動や、デジタル庁・Web3研究会をきっかけに生まれたDAO研究グループ「Dig DAO」のメンバーとしてDAOの研究を行っている。 PizzaDAOはピザ2枚を10,000BTCで交換した日を記念して、毎年5月22日にピザパーティを開く。「ピザは無料であるべき」のビジョンを掲げて運営しており、そのシンプルさが訴求力を高めてきた。2023年は世界116都市、2024年は210以上の都市でピザパーティーが開かれた。今年、東京では約200人が60箱分のピザを楽しんだという。 西村さんは、「4月の合同会社型DAOの解禁により、DAOの信頼度が確保されることを喜ぶ一方、DAOの自由度や、世界には様々な形態があることも尊重していくべきと考える」と述べる。 「PlanetDAOのように株式会社型DAOに挑戦するDAOも存在し、まだまだDAOの信頼性確保のための試行錯誤は続くと思う。Dig DAOでの研究やPizzaDAOでのプロジェクトを通じて、多くの事例が生まれてくるDAOの動向を自ら体験し、理解し、社会に還元していきたい」(西村さん)
養殖サバ・トークンの可能性
香川県丸亀市に本社を置く塩飽(しわく)Fisheriesは、人口260人程度の塩飽本島で鯖(サバ)の養殖と、瀬戸内海の天然魚を飲食店などに販売し、飲食事業と島のファンを増やす交流事業を展開している。 湯川致光(ゆかわ・よしあき)さんは塩飽Fisheriesの取締役を務めながら、立命館大学・地域情報研究所で研究活動を行っている。共創DAOのイベントに登壇した湯川さんは、「瀬戸内・香川で事業をする立場として、側面的に共創DAOと協業できればと考えている」と述べた上で、「関係人口を増やしていくことが重要だ。その方々と我々の育てている養殖鯖や瀬戸内海で獲れる海の幸を接続し、コミュニティによる新規販路の開拓などの取り組みができればおもしろい」と話す。 また、湯川さんは、これらの活動に対してトークンを発行し、継続的に関わっていける仕組みを模索している。「かつての棚田オーナー制度(1区画一定金額で田んぼのオーナーになり、オーナーは農業体験をしながら、作ったお米をもらえる制度)のような養殖鯖トークン制度が可能かどうか検討していきたい」(湯川さん)