世界中で「第三次世界大戦シフト」着々…日本の沖縄も、欧州のドイツも、長年の「平和ボケ」から脱出しつつある
ウクライナ戦争も中東での戦闘も、終わる兆しはない。戦争は、物価高など人々の生活への悪影響を拡大させており、先の欧州議会選挙でも極右が勢力を伸ばした。 【写真】ウクライナ「平和サミット」が茶番劇である理由 日本でも、6月16日に投票が行われた沖縄県議選では、反米軍基地を掲げる玉城知事を支持する与党は過半数の議席を確保できなかった。 実戦配備される核兵器の数も増えており、世界は今、着実に第三次世界大戦へとシフトしつつあるのではないかーー。
沖縄県会議員選挙で見られた異変
沖縄県議会は、選挙前には、与野党とも24議席で拮抗していたが、選挙の結果、野党の自民党、中立的な立場を表明する公明党や日本維新の会などが28議席と増え、玉城与党は20議席と少数派となった。 今後は、玉城知事は厳しい議会運営を迫られることになる。投票率は45.26%と過去最低であった。 何がこのような結果をもたらしたのか? 第一の理由は、経済情勢の悪化で、物価高など生活が苦しくなったことである。米軍基地問題も重要だが、それよりも目先の生活が大事だという切実な認識を持つ有権者が増えたのである。 沖縄県は、子どもの貧困率が全国平均の2倍であり、この問題も大きな争点となった。中学生の学校給食無償化について、県と市町村の間で費用分担を巡ってもめている。この問題は、沖縄の経済状況を示す象徴的な問題である。 第二の理由は、ウクライナ戦争、北朝鮮の核ミサイル開発や台湾有事である。ロシアがウクライナに軍事侵攻したことは、日本もウクライナと同様な事態に直面するかもしれないという危機感を日本国民に与えている。沖縄県も例外ではない。 そのアジア太平洋地域の戦略的に重要な位置にあるという地理的条件は、普天間基地の辺野古沖移転も現実的な解決策として受け入れざるを得ないという認識が広まっている。鳩山由紀夫元首相の「米軍基地は最低でも県外」というようなユートピア的な発想を否定する現実が進行している。 辺野古移転についての代執行訴訟で、昨年12月に国が勝訴し、辺野古移設反対を最大のスローガンとする玉城知事には、もはや移設工事を止める手段がなくなった。今回の県議選での大敗は玉城知事の求心力低下を示すものである。 何よりも台湾と目と鼻の先にある沖縄県そのものを外敵の侵入から守るために、自衛隊や米軍の存在が不可欠となっている。 陸上自衛隊は、2016年に与那国駐屯地、2019年には宮古島駐屯地、2023年には石垣駐屯地を開設している。宮古島と石垣島には地対艦、地対空のミサイル部隊が配備され、与那国にも電子戦部隊とミサイル部隊が追加配備される。 今回の県議選で、辺野古のある名護市(2議席)では、自民党の比嘉忍候補が10,447票(52.1%)で1位、玉城与党の山里将雄候補が8,510票(42.4%)で2位の当選であった。 宮古島市(2議席)では、野党候補の新里匠候補が7,934票(36.7%)で1位、自民党の下地康教候補が7,207票(33.4%)で2位と、反玉城勢力が議席を独占した。 石垣市(2議席)は無投票で、玉城与党の次呂久成祟候補と自民党の大浜一郎候補が当選した。 那覇市・南部離島(11議席)では、自民党が3人、公明党が2人、維新が1人、玉城与党が5人当選している。 以上を見れば、辺野古移転、陸自の駐屯地開設が、県議会選挙で玉城勢力への追い風にはならなかったことが分かる。厳しくなりつつある国際安全保障環境の下で、沖縄もまた、長い間の「平和ボケ」から脱出しつつあるのかもしれない。