現実をドラマと捉える...松下幸之助も語った「何をしても上手くいかない状況」の乗り切り方
この世界は「仮想空間」と考えてどん底を乗り切る
どん底を乗り切るためのもう1つの考え方は、この世界を「仮想空間である」ととらえるやり方です。 世界が仮想空間である可能性については、拙著『「量子力学的」強運の方程式』(SBクリエイティブ)に詳しく書きましたので、ここでは一部を紹介します。 オックスフォード大学のニック・ボストロム教授が提唱した「シミュレーション仮説」では、人類が生活するこの世界はすべて「シミュレーテッド・リアリティ(現実と区別がつかないレベルでシミュレートが可能)である」としています。 原子の構造の話を思い出してもらいたいのですが、原子の中心には原子核があり、その周りを電子がグルグルと回っています。原子のサイズは 10-8cm(10の-8乗/約1億分の1cm)の大きさしかなく、原子核はさらに小さく10-13cm(10の-13乗/約1兆分の1cm)の大きさしかありません。 原子のサイズを東京ドームだとすると、原子核はパチンコ玉1個分くらいのサイズです。残りは空洞で、原子の99.9%はスカスカの状態といえます。 つまり、実態は"あるようでない"のです。そして、この世界の実態は、あるようでない現実と区別がつかないレベルでシミュレートされた世界だと考えれば、どんなことが起きても「シナリオ上のイベントに過ぎない」と考えることができます。 松下幸之助さんも、やりきれないときの心の持ち方の1つとして、「現実の社会というものを、一つの芝居、ドラマと考える」といっています。さらに、松下幸之助さんは「波瀾万丈手に汗にぎるといった芝居のほうが見ていて面白いのはいうまでもありません。(中略)無事平穏な世の中で演じられるよりも、激動の社会を舞台にくり広げられるほうがはるかに興味があり、味わい深くもあるでしょう」と もいっています。 もちろん、だからといって現実に起こっている状況や感情は仮想ではありません。ですから、どん底でいいというわけではなく、最悪のときにそう気づけることで打ちひしがれずに済む、ということなのです。
高橋宏和(量子力学コーチ)