鹿屋体大と連携 合同合宿や指導陣ミーティング OB杉野の代表入りで相乗効果も加速へ 革新 徳洲会体操クラブの挑戦(6)
鹿児島県の大隅半島にある鹿屋体育大学は日本唯一の国立体育大学だ。体操部ができたのは、大学のスタートと同じ1984年。創部41年目の今年、初めてOBから五輪代表選手が誕生した。現在、徳洲会体操クラブで主将を務める杉野正尭(たかあき)(25)である。 「『初めて』ということに対して特に思うことはないかな。でも、振り返ってみると、鹿屋に行ってよかったと思う。どんどん体操と向き合って、五輪や世界選手権といった目標が明確になった場所だった」 ■2年前に締結 大学体操界では、個人総合五輪2連覇の内村航平らが出身の日本体育大と、東京五輪2冠の橋本大輝らの順天堂大が「2強」とされているが、鹿屋体大も近年、力を付けている。パリ五輪代表の最終選考会となった5月のNHK杯2日目では、出場21人のうち鹿屋出身者が6人(現役1、OB5)を占めた。 そんな鹿屋体操部と、神奈川県鎌倉市に拠点を置く徳洲会体操クラブは連携を図っている。直線距離で900キロ以上離れている両者は2年前にパートナーシップ契約を締結(23年4月発効)し、合同合宿を実施するなどしてきた。徳洲会は鹿屋の選手を合宿に招くための予算を確保。クラブの良さや姿勢を直接的に知ってもらうことで、競技力の高い選手や子供向け体操教室の指導者に適した人材を勧誘しやすくなることを期待している。鹿屋の選手たちにとっても社会人のトップチームと一緒に練習できることは刺激が大きい。 この連携は、鹿屋の監督だった村田憲亮(40)が22年シーズンから徳洲会のコーチに転身したことなどが契機となり実現したもので、村田は「(徳洲会に進んだ鹿屋の)卒業生は後輩に対する思いがあり、合宿などで引っ張っていこうという意識があった」とみる。 メリットがあるのは選手だけではない。徳洲会と鹿屋のコーチングスタッフは月1回、1時間程度のオンラインミーティングを行っており、これが有意義だという。内容は、けがから選手が復帰するための取り組みなど強化・育成に関する情報共有がメインだ。定期的にミーティングを行うことで、コーチ陣が自ら掘り下げて考える機会を作り、さらに別クラブの第三者の視点で意見をもらって「気付き」を得る。コーチ陣の指導力が上がることは選手たちにもプラスになる。 ■事前に「反省会」