男子ゴルフ下部ツアーで「59」を出したルーキー・下家秀琉は〝ほんわか系〟 大学の先輩・平田憲聖を追いかける22歳
【若手記者コラム】男子ゴルフで今季注目を集めたルーキーの一人に下家秀琉(しもけ・すぐる)がいる。大阪学院大4年時の昨年11月にプロ転向し、今年3月に同大学を卒業したばかりの22歳。9月に行われたABEMAツアー(下部ツアー)「PGM Challenge」の最終日に1イーグル、9バーディー、ボギーなしの「59」をたたき出し、通算24アンダーで4位から逆転優勝。一躍脚光を浴びた新星だ。 同ツアーの54ホール競技の186ストロークは、これまでの最少記録192を6打も更新。また、最終日にマークした「59」は同ツアー18ホールの最少ストロークタイ記録。まさに記録尽くめと言える衝撃的な優勝だった。ただ当の本人は、記録を作った一戦について問われても「パターが本当に入るので…。『もうやめてくれ』と思っても入るので。こういう日なんだなあと思ってやっていました」と困ったように笑うだけ。180センチ、80キロと大柄だが、おっとりした話し方と口調が特徴。プレーから離れると常に〝ほんわか〟した空気感を漂わせている。 この1勝が精神的な余裕へとつながり、プロゴルファーとして一回り成長した。初優勝を挙げた次週はレギュラーツアーの「ANAオープン」に出場して14位。その後は3戦連続でレギュラーツアーに出て14位、11位、13位と立て続けに上位でフィニッシュした。 「やっていることは変わらないけど、気持ちが変わったのかな。今季はとりあえず来季の出場権を獲得することが目標だったので、下部ツアーで1勝できて余裕が生まれた」。今季のABEMAツアーの賞金ランキングで11位に入り、目標だった来季前半のレギュラーツアーの出場権を獲得。「優勝するまでは『絶対に予選通過』が目標だったが、今はガンガン上位を狙うように変わった。勝ち切ることは大事だなと学びました」と振り返る。 大阪学院大の1学年上には、今季4勝を挙げて賞金ランキング首位の平田憲聖(24)がいる。大学だけではなく、所属先もELECOMで同じだ。「憧れの存在というか、ずっと一緒に練習させてもらっていたので、一緒にやりたい気持ちはある。刺激を受けても追いつけない。追いかける立場です」と下家。前を走る先輩に尊敬のまなざしを向けている。 賞金ランキングは現在60位で、来季のシード圏内につけている。飛躍の予感を漂わせるホープは「このまま伸びていけるように、遊ばずに、真剣にゴルフに向き合っていきたいです」。見かけからは想像できない〝ほんわか系〟の大器が、これからその名をさらに知らしめる。(鈴木和希)