元日SPでも屈指の傑作になった3つのポイントとは?『相棒』では珍しい構成も?『相棒 season23』第9話考察レビュー
毎週水曜夜9時より放送中のドラマ『相棒 season23』(テレビ朝日系)。国民的人気を誇るご長寿刑事ドラマの“黄金コンビ”が帰ってきた! 杉下右京(水谷豊)×亀山薫(寺脇康文)が、共に事件を追う。さっそく、第9話の内容を振り返っていこう。(文・Naoki)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】凄みのある演技で圧倒したゲスト俳優は? 貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『相棒 season23』劇中カット一覧
元日SP史上屈指の神回になったワケ
亀山「あけましておめでとうございます!今年も良い年にしましょうね」 右京「あけましておめでとうございます。えぇ、良い年にしましょう」 『相棒season23』 第9話「最後の一日」は15本以上ある元日SPでも上位に入る傑作とも呼べる物語であった。 脚本家の神森万里江氏はS17から参戦し、元日SPを執筆するのは今回で2度目、スペシャル回としても4度目の執筆となる安定感抜群の脚本家だ。 また日曜劇場『アトムの童』を執筆していた事もあり、長編の物語にも強い。期待を裏切らず、元日らしさと『相棒』らしさが混在した良い作品を堪能させてもらった。 そんな本エピソードは、12/31に国民的ニュースキャスターの桧山(髙嶋政伸)の娘が”ジョーカー”という組織に誘拐される所から始まる。 彼等は桧山へ「年越し生放送で過去の罪を告白しろ」と脅迫をしてくる。事件に気付いた右京と陣川が捜査へ動く。 一方で、亀山と伊丹と益子は警察学校時代の同期である澤田(櫻井淳子)から自宅へ招かれるが、彼女の旦那が怪しげな行動を繰り返していた。 片や、芹沢と出雲は角田課長の応援で反社の取引現場へ潜入していた。そこで出雲は陣痛に苦しむ妊婦と出会う。 更に一方で社と峯秋と衣笠は与党議員主催の忘年会へ参加しテレビで桧山の番組を観ていたが、それを主催者の伊地知はほくそ笑んで視聴していた。 それぞれの事件が重なる時、史上最大の大晦日が始まる。
『相棒』にしては珍しい群像劇方式と華麗なる伏線回収
今回の見所は3つ。 1つ目は『相棒』にしては珍しい群像劇方式だった事だ。 テレビ局で巻き起こる誘拐からの脅迫事件に関わる右京と陣川。喫茶店で発生する拳銃取引事件に関わる芹沢と角田。澤田宅で発生した爆弾事件に関わる亀山と伊丹と益子。 過去に暴行事件を起こした伊地知と近い峯秋と社と衣笠。妊婦の出産に立ち会う出雲。これらが繋がりながら全て丁寧に描かれている。 基本的に『相棒』は特命係とゲストがメインの為、サブキャラクターは充実しているが群像劇の形式をもつエピソードはなかった。 しかし今回の元日SPは2時間以上の尺を活かし特命係にも見せ場を作りながら、”相棒ワールド”を活かしきる構成となった。 1つの事件が解決すると別の事件に繋がり、それが徐々に集約され、1つの形をとる。その上、伏線をシリーズを通して馴染み深い曲の1つである「交響曲第9番」の演奏中に回収させるのは美しいという他に無い。